『第20回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』、日本館キュレーターに金野千恵が決定、 “モンスーン”をテーマに共存の未来を探る

  • 文:Pen編集部
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第20回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示、2027年の日本館キュレーターに、建築設計事務所「t e c o」主宰の建築家・金野千恵が選出された。 

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2027年の日本館キュレーター、建築家の金野千恵。 ©yasuyukitakagi

 日本館の展示テーマは「MONSOON COMMONALITY(モンスーン コモナリティ)」。アジア各地をつなぐモンスーン気候に着目し、気候とともに育まれてきた共同体や暮らしの知恵を、建築を通して再考するプロジェクトとなる。

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公開されたメインビジュアル。 © t e c o 

 今回の国際建築展の総合テーマは、中国の建築家・王澍(ワン・シュー)と陸文宇(ルー・ウェンユー)が掲げる「Do Architecture ― For The Possibility of Coexistence Facing A Real Reality(現実に向き合いながら、共存の可能性のために建築する)」。金野の提案は、このテーマと呼応するかたちで、人と自然、人と人、人間と非人間の生きものが共存するための環境や関係性を、身体的な体験として提示することを目指している。

チームには、台湾・宜蘭を拠点とする黄 聲遠(ホァン・シェンユェン)、中国・上海を拠点とする水 雁飛 (シュイ・イェンフェイ)、そしてベトナム・ホーチミンと日本を拠点とする西澤俊理が参加。さらに環境工学の視点から菅健太郎が加わり、建築、ランドスケープ、環境解析を横断する国際的なコレクティブを形成する。

 

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左から、西澤俊理、水 雁飛、金野千恵、黄 聲遠、菅健太郎。 
撮影:廣田達也、提供:国際交流基金(JF)
 

構想の核にあるのは、モンスーン地域に共通する環境文化だ。洪水や豪雨といった自然災害への適応、水を共有するコモンズの運営、発酵や保存食に代表される食文化、生物多様性との共生など、多様な知恵が蓄積されてきた。展示では、こうしたテーマをデータ分析するだけでなく、光や風、熱、土といった要素を感覚を通じて体験できる空間として表現するという。

会場となる日本館では、庭やピロティを活用しながら既存建築の魅力を引き出し、自然環境とのつながりを強調する計画だ。「外の空気と繋がりながら、私たちが自然とともに生きているという情景をつくり出せるような、そんな日本館にしていきたい」と金野は語る。

社会課題への直接的な解決策を示すのではなく、「ともに生きる豊かさ」を体感させることで、新たな建築の可能性を問いかける。気候危機や分断が深まる時代に、日本館からどのような共存の風景が提示されるのか。今後の展開に注目したい。

『第20回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』

開催期間:2027年5月8日〜11月21日
開催場所:ジャルディーニ地区、アルセナーレ地区、他ヴェネチア市内各所
www.labiennale.org/en