【今週のアート記事ベスト3】難聴のアーティストが描く新感覚個展に、船のような集合住宅、サボテンビルまで、よく読まれた最新のアートトピックを紹介

  • 文:Pen編集部
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難聴のアーティストが描く新感覚個展に、船のような“未来の集合住宅”、巨大サボテンに見えるビルまで、今注目の最新アート記事3本をお届け。

第3位  【まるで巨大サボテン】「史上最も醜い」と言われた高層住宅が欧州最高賞を受賞

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photo:Rasmus Hjortshøj

デンマークでは歴史的な街並みが大切に保存されているが、その一方で非常に斬新かつ革新的な建築物が次々と誕生している。その一つが、コペンハーゲンに建設された高層住宅「カクタス・タワーズ」だ。当初は奇抜な外観が酷評されたこともあったというが、そのデザイン性や機能性が高く評価され、国際的に名誉ある建築賞を受賞している。

新しいタイプの高層集合住宅 人気のエリアに誕生

カクタス・タワーズは、コペンハーゲン市中心部のすぐ外側に位置するヴェスタプロに建設された。かつては赤線地帯として知られ労働者階級の町だったが、1980年代に始まった大規模都市開発プロジェクトにより徐々に住み良い町へと変貌を遂げた。現在ではバーやレストラン、デザイナーズストアが並ぶ、もっともスタイリッシュな地区の一つとして注目されている。

22階建てと20階建ての2棟で構成される高さ80メートルのカクタス・タワーズには、495戸の住戸が配置されている。「マイクロリビング」のコンセプトに基づいて設計されており、各戸は33~53㎡とコンパクトながら、独自にデザインされたインテリアとプライベートバルコニーを備えている。また居住者向けの広々とした共用施設が多数あり、プライバシーとコミュニティの両方を提供することで、都市生活者の多様なニーズに応える新しいタイプの集合住宅となっている。

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photo:Rasmus Hjortshøj

巨大サボテンの高層住宅をもっと見る

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第2位 【新感覚の個展】観て・触れて・聞いて体感する、中村馨章が探る“知覚の境界”『Cyborg Butterfly: Threshold』展が開催中

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妖艶な雰囲気を纏った蝶の絵画には、骨伝導スピーカーが内蔵されている。作品は単に鑑賞するだけでなく、触れたり、振動や音を感じたりと、身体感覚を通して体験できる。

音のある世界と音のない世界――。その狭間に立つからこそ見える景色がある。難聴という自身の経験を起点に、人間の知覚やコミュニケーションのあり方を問い続けるアーティスト・中村馨章(よしあき)による個展『Cyborg Butterfly: Threshold』が、ホワイトストーンギャラリー銀座新館で開催中だ。

蝶が導いた“知覚”への問い

聴覚や視覚といった知覚の境界を探求し、それをアートとして表現するアーティストがいる。その名も中村馨章。幼少期に感音性難聴を発症し、2000年には聴力を失った中村は、その後人工内耳を装用。音のない世界から再び音のある世界へと踏み込んだ経験を通じて、人間の知覚やコミュニケーションの本質について問い続けてきた。その探求は作品へと昇華され、自己と他者の新たな対話の可能性を探る表現へと結実している。

同ギャラリーでの個展は今回で4回目。本展では「Cyborg Butterfly(サイボーグ・バタフライ)」と「Threshold(閾値)」というふたつのテーマを軸に、人間とテクノロジー、音のある世界とない世界、その間に存在する“境界”について問いかける。

会場に足を踏み入れるとまず目を引くのが、大きく羽を広げた蝶の作品だ。蝶は中村が活動初期から一貫してモチーフとして用いてきた存在であり、アーティストとしての原点ともいえる重要なシンボルだという。生と死、天国と地獄といった二項対立のいずれにも属さない蝶の姿に、自身の存在を重ね合わせてきた。

さらに中村は、難聴によって音の情報が限られていた時期に、蝶から“凄まじい音”を感じたという原体験を持つ。しかし実際には、蝶の羽ばたきはほとんど音を発しない。その経験は、自身が感じる世界と他者が感じる世界とのあいだに存在する見えない境界を意識するきっかけとなった。そしてその問いは、「知覚とは何か」という探究へと発展し、今日の創作活動の根幹を成している。

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中村馨章(なかむらよしあき)・東京都生まれ。東京藝術大学大学院博士後期課程、米国メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アート大学院修了。人工内耳装用による知覚の変化を起点に、人間の感覚やコミュニケーションの境界をテーマとした作品を発表している。

中村馨章『Cyborg Butterfly: Threshold』をもっと見る

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第1位 【まるで巨大な船】未来の暮らしを体現した集合住宅がすごかった

まるで川面を進む一艘の船のような建物が2025年春に竣工した。フランス東部ユナング(Huningue)のライン川沿いに現れた集合住宅「Vatea(ヴァテア)」は、細長く薄いシルエットを水辺に浮かべ、周囲の建物とは明らかに異なる存在感を放っている。 

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Photo: © Cyrille Weiner

設計を手掛けたのは、フランスの建築設計事務所 「ニコラ・レネ・アーキテクツ(Nicolas Laisné Architectes)」。「Vatea」はフランス、ドイツ、スイスの国境が交わる地域に位置し、学生や若手プロフェッショナルなど、国境を越えて移動しながら働き暮らす人々のためのコリビング住宅として計画された。

長く水平に伸びたフォルムは、ライン川を行き交う船舶や水辺の景観から着想を得たものだという。中層部には船のデッキを思わせる大きな共有テラスが設けられ、川へ向かって大きく開かれた構成となっている。

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Photo: © Cyrille Weiner

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