世界最大級のビッグウェーブに挑み、サーフィンやフォイルボーディング、ウィンドサーフィンなど、多彩なウォータースポーツで世界のトップを走り続ける男がいる。ハワイ・マウイ島出身のカイ・レニーだ。彼は、あらゆるオーシャンスポーツを高いレベルで操り、海に関する深い知識と自然への敬意を持つエキスパートにのみ与えられる称号「ウォーターマン」を体現する存在である。自然の圧倒的なエネルギーと向き合い、一瞬の判断が生死を分ける極限の環境で、彼は常に新たな領域へ挑み続けてきた。
そんな彼がタグ・ホイヤーのアンバサダーを務めるようになって、早くも10年。今回、Pen Onlineはカイ・レニーへのメールインタビューを実施した。長年にわたるブランドとの絆、極限状態で求められる「信頼性」の本質、そして光をエネルギーへと変える革新的な「ソーラーグラフ」テクノロジーを搭載した新作「アクアレーサー」への想いについて、その言葉から、極限の世界で挑戦を続ける彼の哲学に迫る。
10年の絆が育んだ、究極の信頼
カイ・レニーにとってタグ・ホイヤーとの10年は、自身の競技人生を語るうえでも欠かせない時間となっている。海を舞台に活動してきた彼が、ウォッチメイキングの世界と深く関わるようになった背景には、幼い頃から憧れてきたヒーローの存在があった。
「タグ・ホイヤーのアンバサダーとして歩んできたこの10年間は、本当にかけがえのない時間だった。慣れ親しんできたサーフィンの世界を超えて、これほど豊かな歴史を持つブランドの一員として活動できたことは、自分にとって大きな意味がある。子どもの頃、僕はアイルトン・セナに憧れて育ったんだ。そして、彼がレースで身に着けていたのと同じロゴを、自分もボードに付けていると思うと、なおさら感慨深いよ」
「いま、毎日手首にアクアレーサーを着けていることを光栄に思っている。このタイムピースは、想像を超えるような過酷な海の環境にも耐えてくれる。だからこそ、サーフボード以上に、この時計を信頼しているよ」
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コンマ一秒の精密さがもたらす、大自然との調和
タグ・ホイヤーというブランドは、モータースポーツをはじめ、常にコンマ一秒を争う極限の世界とともに歩んできた歴史を持つ。一瞬の判断が生死を分けるという意味では、巨大な波と対峙するウォーターマンの世界もまったく同じである。カイ・レニーは独自の視点から、自身が挑む過酷な海における「時間の精密さ」と「パフォーマンス」の密接な関係性について、次のように指摘する。
「モータースポーツではあらゆるデータがミリ秒単位で管理されているけれど、サーフィンやその他のウォーターアクティビティでは、そこまで緻密な時間管理は必要ないと思われるかもしれないね。しかし、もし世界最大級の波に乗るのであれば、自分が最高のパフォーマンスを発揮できるタイミングを把握することは極めて重要なんだ。例えば、世界のどこであっても『正しい場所に、正しいタイミングでいる』ことは、外洋に設置されたブイの観測データとその地域の気象データを関連付けて分析できなければ非常に難しいことなんだよ」
「僕たちはそれをまるで科学のようなレベルまで突き詰めていて、その日の最大の波がいつ到来するのかを、ほぼ分単位で予測できるようになっている。だからこそ、正確さや信頼性は僕にとって非常に大きな意味を持っているし、タグ・ホイヤーがモータースポーツの世界で培ってきた精密さへのこだわりには、自分の活動との共通点を強く感じるんだ」
では、カイ・レニーを突き動かしている原動力はなんなのだろうか? 波乗りの世界では、完璧な波や巨大な波はそう簡単には現れない。だからこそ、その波を探しに行く冒険のプロセスそのものが、活動の純粋な楽しさを支えていると彼は語る。
「波乗りの一番難しいところは、波がいつもそこにあるわけじゃないこと。少なくとも、巨大だったり完璧だったりする波はそう簡単には現れないんだ。だからこそ、その波を探しに行く冒険そのものが楽しさの半分を占めていると言っていい。自分を突き動かしている大きな原動力のひとつは、まず、実現不可能と思えるような目標を掲げること。そして、それを1年単位、1カ月単位、さらには今日やるべきことまで細かく落とし込んでいく。そうやって少しずつ現実的な目標に変えていくんだよ」
「それは新しいトリックの習得かもしれないし、フィットネスのレベルを引き上げることかもしれない。あるいは、これまで一度もやったことのないことに挑戦して、新しいことを学ぶことかもしれない。なんであれ、僕は常に次の可能性を探しているし、そのプロセス自体がモチベーションになっているよ」
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自然のエネルギーを腕に纏い、さらなる限界の先へ
タグ・ホイヤーの新作「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル500 デイト」は、未知の海へ挑むプロフェッショナルたちを支える一本だ。高い完成度を備えながらも、さらなる進化を追い続けるブランドの姿勢に、カイ・レニーは強く共感している。同時に、この時計は彼にとって、陸の上でも海とのつながりを感じさせてくれる特別な存在でもあるという。
「すでに完成された時計に見えるのに、そこからさらに進化させ続けているのは本当にすごいことだと思う。常に限界を押し広げようとする姿勢には、自分自身も強く共感するよ。遠征や移動で何日も飛行機に乗っていると、どうしても海とのつながりが薄れてしまう瞬間があるんだ。でも、ふと腕元の時計を見るだけで、海の静けさを思い出せる。僕にとってこの時計は単なるツールではなく、思い出を刻んできたメモラビリア(記念の品)でもあるんだ」
「一緒に海に入り、一緒に波を追いかけてきたからこそ、時計を見るたびに『あの時のセッションは最高だったな』とか、『あの波は特別だったな』と振り返ることができる。そんなふうに、時間を知るためだけじゃなく、自分が経験してきた素晴らしい瞬間を思い出させてくれるものって、実はあまり多くないと思うんだよね」
そして、大自然の莫大なエネルギーと調和しながらパフォーマンスを発揮する彼が、いま最も実用面で魅了されているのが、太陽光をはじめとするあらゆる光をエネルギーに変える「ソーラーグラフ」テクノロジーだ。自然を相手にするウォーターマンとして、装備のメンテナンスに煩わされることなく、目の前の体験に100%集中できることの価値を、彼は次のように熱弁する。
「結局のところ、僕が日常や現場において一番気にしたくないことのひとつが『時計がちゃんと合っているかどうか』なんだ。このソーラーグラフの技術なら、毎日身に着けていてもいいし、もし何本かの時計を気分で使い分けていたとしても、外した時計を窓際に置いておくだけで、自然に充電される。次に手に取った時に、時刻が止まっていたり、わざわざ合わせ直したりする心配がないのはすごく大きいことなんだよ」
「海にいる時も旅をしている時も、自分が集中したいのは波や自然、そして目の前の体験そのもの。だから装備について余計なことを考えなくていいというのは、とても価値があることなんだ。ソーラーグラフの魅力は、まさにそういうところにあると思う。光がある限り動き続けてくれるから、僕は時計の心配をするのではなく、自分がやりたいことにすべての意識を向けられるんだ」
ウォーターマンとしていまなお進化の歩みを止めないカイ・レニー。彼が次に見据えている「未知の領域」、そして未来の挑戦は、すでに明確なターゲットとして定まっている。
「素晴らしいのは、毎日必ずなにか新しく学べることや、もっと上達できることがあるということ。だから、挑戦したいことが尽きることはないんだ。いまはエルニーニョ(海面水温の変化による気象現象)のシーズンに向かっているところだから、僕の最大の目標は、人生で最も大きな波に乗るための準備をすること。そのために、いまは身体を徹底的に鍛えながら、同時にどんな状況にも動じないようメンタル面も整えているところさ。まだ先のことのように感じるかもしれないけれど、実際にはあと半年もすれば、その時期がやってくる。だからこそ、いまこの瞬間、今日という日の積み重ねがすごく大事になってくるんだ」
半年後に訪れる人生最大の波との決戦。その瞬間に向けて、彼は今日という一日を積み重ねていく。その腕元には、これまでも数々の挑戦をともにしてきたタグ・ホイヤー「アクアレーサー」が静かに時を刻んでいる。
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