【国内屈指の廃墟】「大谷グランド・センター」が復活…岩山に食い込む巨大施設がアートの新名所へ

  • 文:佐藤季代
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photo: Masaki Hamada

大谷石の採石場として知られる栃木県大谷町の岩山に築かれたRC造2階建ての建物。1967年に温浴施設と宴会場を備えた「山本園大谷グランドセンター」として開業し、採石業で栄えた町の賑わいを支えてきた。しかし観光産業の衰退に伴い、86年に閉館。長らく放置され、国内有数の廃墟スポットとして知られる存在となっていたが、およそ10年前に再生計画が始動。アートと食の複合施設として今年新たな姿を見せた。設計した針谷將史は「岩山に食い込む特異な建築を活かしながらも、内部を覆う壁や床の一部を“減築”することで光や風を取り込み、大谷の風景の延長のように感じられる建築を目指しました」と語る。

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photo: Masaki Hamada

暗く閉鎖的だった1階は、内装を取り除きスケルトン化してギャラリーへ刷新。壁の一部を解体して岩肌を露出させ、石と躯体の間にスリット状の開口を設けることで、光や風が通り抜ける場へと蘇った。切り立った岩盤やRCの躯体、さらに新設された鉄やモルタルの要素が交差し、ひとつの空間に異なる時間軸が重なり合う。

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photo: Masaki Hamada

また、宴会場として使われていた2階は、展望テラスとつながるレストラン・カフェへ改修。既存の水平連続窓の一部を削減して空間に抑揚をつけたり、テラス側は梁下まで開口を拡張するなど、視線の抜けを再構成。巨大な岩壁や採石場の風景を室内へと引き込み、大谷の地形そのものを体感できる空間へと生まれ変わった。

土地に刻まれた痕跡の保存と刷新を重ねた新たな名所が、街の記憶を受け継いでいく。

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photo: Masaki Hamada

大谷グランド・センター

住所:栃木県宇都宮市大谷町1396-29  
営業時間:11時〜17時
休館日:火・水
https://oya-grand-center.com
【設計者】針谷將史建築設計事務所 代表の針谷將史が横浜国立大学大学院を修了後、隈研吾建築都市設計事務所を経て、2014年に設立。住宅、商業空間、公共施設などを幅広く手掛ける。築地のホテル「TSUKI」でグッドデザイン賞を受賞。