【日本初の大回顧展】イタリアデザインの巨匠、エットレ・ソットサスの世界

  • 文:高橋美礼(デザインジャーナリスト)
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1.イタリアデザインの一時代を築いた、日本初となるソットサス大回顧展

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晩年のソットサスが注力したガラス作品。こうした一点ものの作品を含め、同館はソットサスの創作を体系的に収集してきた。 『花瓶no.17』2006年、石橋財団アーティゾン美術館 © Erede Ettore Sottsass

20世紀イタリアを代表するデザイナーであり建築家でもあるエットレ・ソットサス。没後20年を前に、アーティゾン美術館では国内初となる大規模回顧展が開催されている。近年、同館が重点的に収集してきた100点を超える作品群が一挙に公開される初の機会でもある。

ソットサスが語られる時、しばしばポストモダンデザインの象徴として位置づけられる。なかでも1980年代、自ら発起人となって結成した国際的デザイナー集団「メンフィス」は、大胆な色彩と造形によって世界に衝撃を与えた。

だが、その革新的なスタイルだけがソットサスの本質ではない。50年代から60年代には、オリベッティ社のために手掛けたタイプライター「ヴァレンタイン」をはじめ、企業との協働を通じて数々の名作を生み出した。一方で、60年代後半に世界的な反体制運動が広がるなか、デザインそのものの意味を問い直し、哲学的な思索とともに創作を深めていく。

本展では、そうした初期から晩年に至るまでの創作の軌跡をたどることができる。メンフィスでの活動はもちろん、キャリアの出発点となったインダストリアルデザイン、仕事を中断してスペインを放浪しながら撮影した写真作品、さらには最晩年に手掛けたガラスオブジェまで、その表現領域は実に幅広い。合理性や機能性だけでは捉えきれない自由な創造の姿勢は、展覧会のサブタイトルにもなった「魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」という言葉によく表れている。

会場では、ともにメンフィスを牽引した倉俣史朗らの作品も紹介される。イタリアデザインの一時代を築いた巨匠の歩みを振り返りながら、ポストモダンデザインの可能性を改めて見つめ直す好機となるだろう。

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メンフィスを象徴するキャビネット「カールトン」。自由な色彩と造形によって、1980年代のデザインに新たな価値観をもたらした『カールトン』1981年、石橋財団アーティゾン美術館 © Erede Ettore Sottsass

 

『エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる』

開催中〜10/4 アーティゾン美術館開催場所:kudan house
開場時間:10時〜18時(金は〜20時) 
休日:月(7/20、9/21は開館)、7/21、9/24
料金:一般ウェブ予約¥1,200
www.artizon.museum