WUHAN 武漢/中国
中国・武漢市の後官湖(Houguan Lake)北岸に、まるで童話の世界から現れたような郊外型リゾートが誕生した。
巨大なガジュマルの木を思わせるツリーハウスや、水辺に浮かぶボートハウスなどが湖畔に点在する「武漢城建開元森泊リゾート(Wuhan Urban Construction Kaiyuan Senbo Resort Park)」である。建築と自然が一体となる滞在体験をテーマに、森や湖の風景そのものをリゾートの魅力へと取り込んだ。
自然の風景に溶け込む6つの宿泊コンセプト
リゾートには6つの宿泊コンセプトがあり、その象徴となるのが「巨大なガジュマルのツリーハウス」である。木造構造と張り出したテラス、大きな開口部によって、建物が森の中から自然に育ったかのような印象を与える。
湖畔にはボートハウスが並ぶ。これは伝統的な水上生活のイメージを、現代的な宿泊施設へと再解釈したものだ。
さらに、湖畔の朝露から着想を得たカボチャ型コテージや、曲面屋根と天窓を備えたスターゲージングキャビンなど、それぞれ異なる滞在体験を提案している。
外装には魚鱗状に重ねた木製シングルやPE製の茅葺き材、レッドシダーなど自然との親和性を意識した素材を採用。すべての客室から水辺を望めるよう計画され、建築そのものがランドスケープの一部として機能するよう設計されている。
湖畔の景観を生かした設計
設計を手がけたDAHLIN Architectureは、米・カリフォルニア州に本拠を置き中国にも拠点を構える建築設計事務所だ。これまで住宅やホテル、複合開発、都市計画まで幅広いプロジェクトを手がけてきた。近年はアジアでもリゾート開発を手がけ、自然環境や地域性を生かしたデザインを数多く提案している。
今回の計画では、後官湖北岸に広がる森林と湖の景観を生かし、建築群を水辺に沿って点在する小さな集落のように配置した。宿泊施設同士に適度な距離を確保することで、それぞれが独立した隠れ家のような趣を持ちながら、リゾート全体として調和の取れた風景をつくり出している。
DAHLINは、建築を景観の主役に据えるのではなく、自然との境界をできる限り曖昧にすることを設計の軸としたという。構想から完成まで一貫して「建築が敷地から自然に育ったように見えること」を目指し、宿泊者が森や湖の風景へ自然に溶け込める空間を実現した。
第1期が開業、リゾート全体の開発は続く
「武漢城建開元森泊リゾート」は2025年5月に竣工し、同年6月13日に第1期エリアが正式開業した。今回公開された建築群は、この第1期を構成する宿泊施設群である。
一方、この施設は単体のホテルではなく、ウォーターパークや国際会議センター、レストランなどを備える大規模な郊外型複合リゾートとして計画されている。プロジェクト全体は2期に分けて整備が進められている。
中国では近年、都市近郊の自然環境を生かした滞在型リゾートの開発が進んでおり、本プロジェクトもその一例だ。建築とランドスケープを融合させたデザインによって、自然の中で過ごす体験そのものを価値とするリゾートのあり方を提案している。今後、全体計画がどのような姿で完成するのか、その展開にも注目が集まりそうだ。