真夏に知りたい、マイナス89.2度の南極と7つの意外な事実

  • イラスト:naohiga 
  • 文:戸村悦子 
Share:

近年、クルーズ船による南極観光の人気が高まっている。南極大陸は、自然環境も歴史も、そのスケールが桁違い。地球とは思えない風景や、常識を覆す現象が数多く潜んでいる。暑い夏が涼しくなる、南極の奥深さが見える7つのトリビアを紹介しよう。

「南極」と聞いて、なにを思い浮かべるだろう? 南極にいま、人は旅することができるようになった。ならば、南極へはどんな行き方があるのだろうか? 南極にはなにが待っていて、どんな景色が見えるのだろうか? 全身で南極を感じたとき、人はなにを想うのだろう――。

『行きたい南極』
Pen 2026年9月号 ¥880
Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら

Trivia 1 南極と北極、どちらが寒い?

正解は南極。北極は海に浮かぶ氷塊なのに対し、南極は標高の高い大陸を厚い氷床が覆っている。陸地は海に比べ冷えやすい性質がある。さらに南極では内陸へ進むほど標高が上がり、気温も低下していく。

北極圏の最低気温は、1991年に北半球最低の-69.6℃を観測。一方、南極では1983年、標高3488mのボストーク基地で、地上の気象観測史上最低となる-89.2℃を記録した。その差は約20℃におよぶ。

 

68769975e40153793e17609265291d0000cb6d7b.jpg
1-2a.jpg

Trivia 2 極寒なのに、息を吐いても白くならない

冬に吐く息が白く見えるのは、呼気に含まれる水蒸気が外気で冷やされ、空気中のチリ(微粒子)を核にして細かな水滴や氷の粒になるため。

南極内陸部は極端に乾燥し、人間の生活圏から遠く空気の汚れが少ないため、極寒でも吐いた息が白く見えないことがある。代わりに呼気の水分はまつ毛や衣服に付着し、長時間屋外にいると顔まわりが白く凍りつくこともある。

南極トリビア
南極トリビア

Trivia 3 富士山より高い火山がある

南極のロス島にそびえるエレバス山は、地球最南端の活火山。標高約3794mで、富士山よりわずかに高い。山頂にある火口には、1970年代から活動を続ける、世界でも数少ない恒常的な溶岩湖がある。氷と雪に閉ざされた世界で、真っ赤な溶岩が絶えず脈打つ光景は圧巻だ。

火山名は、1841年にこの山を発見したイギリスの探検船「エレバス号」に由来する。極寒と灼熱が隣り合う、南極の奇景だ。

南極火山

Trivia 4 氷床のはるか下に、巨大な湖がある

レーダー探査などにより、氷床下には400を超える湖が確認されている。これらは、氷の圧力や地熱などによって、水が凍らずにたまったものだ。最大級のボストーク湖は、約3500mもの氷の下にあり、北米のオンタリオ湖に匹敵する広さを持つ。

湖で採取された氷からは微生物も報告されており、その由来を巡る議論は続くものの、氷に閉ざされた“未知の生命圏”が広がっている可能性もある。

南極 湖

Trivia 5 かつて南極大陸には、恐竜が闊歩していた

いまの光景からは信じがたいが、約2億年前の南極は氷の大陸ではなかった。アフリカや南アメリカとつながるゴンドワナ大陸の一部で、温暖な森が広がり、恐竜が歩き回っていたのだ。

南極横断山脈では植物化石に加え、前期ジュラ紀の肉食恐竜の化石も発見。頭部の突起から、「凍ったとさかを持つトカゲ」を意味するクリオロフォサウルスと名付けられた。その体長は約6〜7mと推定される。

南極 恐竜

 
Trivia 6 ペンギンのフンが、温暖化を和らげる?

2025年、国際研究チームは、ペンギンのフンが南極の雲づくりに関わる可能性を報告した。フンから放出されるアンモニアが、海洋由来の硫黄化合物とともに、雲の核となる微粒子の生成を促すという。こうして生まれた雲が日射を反射し、気温上昇を和らげる可能性もある。

ちなみに南極では、ピンク色をしたペンギンのフンが見られる。これは主食のオキアミに含まれる赤い色素、アスタキサンチンによるものだ。

南極 温暖化防止 ペンギン

Trivia 7 世界一多くの隕石が、南極で発見されている

世界で発見された隕石の約60%以上が南極で収集され、その数は4万8500個を超える。それらは「南極隕石」と呼ばれ、「非南極隕石」と区別される。南極隕石は、地上の物質による汚染も少なく、“天然の冷凍庫”で保存されているため非常に状態がよい。さらに氷床によって運ばれ、山脈にせき止められた場所に集積するので収集もしやすい。写真は、日本の南極地域観測隊が発見した火星由来の隕石。

b4682d5833fd62bc816413cc90a3027ca9ef2c54.jpg© National Institute of Polar Research

関連記事

 

『行きたい南極』
Pen 2026年9月号 ¥880

Amazonでの購入はこちら
楽天での購入はこちら