快適な履き心地と卓越したレザー技術で知られるデンマークのシューズブランド、エコー(ECCO)。そのエコーが新たなクリエイティブプロジェクト「ECCO.kollektive」を始動した。2026年秋冬シーズンの第1弾として登場したのは、ロンドンを代表するデザイナー、クレイグ・グリーンと、日本のクリエイター相澤陽介による限定コレクションだ。ECCO TOKYO SHIBUYAをはじめ、公式オンラインストアや一部セレクトショップで販売が始まっている。

エコーの技術を、世界のクリエイターたちに開放する
ECCO.kollektiveは単なるコラボレーション企画ではない。ブランドが長年培ってきたレザー開発技術や製造ノウハウ、膨大なアーカイブを世界のクリエイターに開放し、その視点を通してエコーの定番を刷新するプロジェクトだ。興味深いのは、デザイナーたちに商業的制約を極力設けず、自由な発想を促している点である。ヘリテージと実験性、クラフツマンシップと先端テクノロジー。その二項対立を横断しながら、新しいフットウェアの可能性を探る試みだ。今回の2026年秋冬シーズンには、クレイグ・グリーン、相澤陽介、そして元Chloéクリエイティブディレクターのナターシャ・ラムゼイ=レヴィが参加。ナターシャのコレクションは8月下旬に発売予定となっている。

クレイグ・グリーンが再解釈した、エコーのユーティリティ
クレイグ・グリーンは、機能性とユニフォームの概念を探求し続ける現代ファッション界屈指の存在。2025年のランウェイでエコーとの協業を発表して以来、その関係を深めてきた彼が今回取り組んだのは、エコーのアーカイブに残る定番モデルの再構築だった。ベースとなったのは「SOFT CLASSIC」「RECEPTOR XP」「WALKER 3.0」などの人気モデル。大きく形を変えるのではなく、構造やプロポーション、ディテールに繊細な変化を加えることで、新たな表情を引き出している。特徴的なのは、エコーが追求してきた快適性や耐久性を犠牲にせず、グリーンらしい実験精神を落とし込んでいることだ。日常に寄り添う機能美が、静かなモード感をまとっている。

相澤陽介が提案する“都市探索”のためのフットウェア
一方、相澤陽介によるコレクションは、よりアクティブな視点からエコーを再解釈する。2026年にホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)のデザイナー職を退いた相澤は、長年培ってきたアウトドアと都市生活を融合するデザインアプローチを本プロジェクトでも存分に発揮。エコーの高性能プラットフォームとプレミアムレザーを組み合わせながら、「都市探索」をテーマとする機能的なラインを完成させた。中心となるのは「RECEPTOR XP」「WALKER 3.0」「TRACK 25」の3モデル。複数のレザーやカラーを組み合わせた奥行きあるデザインに加え、高い歩行性能と汎用性を両立している。とりわけRECEPTOR XPは、エコーが誇るテクノロジーと相澤のアウトドアマインドが自然に融合した一足。タフな機能性を備えながらも、都会的に履きこなせるバランス感覚が光る。

エコーの進化を味わう
エコーは1963年の創業以来、「歩くための靴」をつくり続けてきたブランド。その真価は、レザーのなめしから製造・販売までを自社で一貫管理する体制と、快適性を徹底的に追求する姿勢にある。ECCO.kollektiveは、そのイメージを更新するプロジェクトになりそうだ。クレイグ・グリーンは機能美をモードへと昇華し、相澤陽介は都市とアウトドアの境界を曖昧にする。エコーの強みであるクラフツマンシップとテクノロジーを尊重しながら、新しい価値を加えている。快適性の代名詞だったエコーはいま、世界のトップクリエイターたちの手により、新たなデザインプラットフォームへと進化しようとしている。履き心地を知る人ほど、この変化に驚かされるはずだ。