スーパー登山部「ネイチャーポップという、 新たな音楽のカタチ」【創造の挑戦者たち#117】

  • 文:小松香里
  • 写真:野村佐紀子
  • ヘア&メイク:伊澤明日香
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SUPER CLIMBING CLUB●小田智之(Key&Vo)、Hina(Vo)、いしはまゆう(G&Vo)、梶 祥太郎(B)、深谷雄一(Dr)からなるバンド。2023年結成。楽器を自ら背負い、標高2800m超の山頂の山小屋で定期的にライブを行う。ラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」で25年の邦楽ベスト20に選ばれるなど注目を集めている。

キーボーディスト・小田智之を中心に結成された5人組バンド、スーパー登山部。楽器を背負って登山を行い、山小屋でライブを開催するという、バンド名そのままのユニークな活動で注目を集めている。登山が趣味の小田が、山頂で鍵盤ハーモニカを奏でたことをきっかけに、「山×音楽」という挑戦が始まった。
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「山頂で音を鳴らしたら、音が山に消えていくような感覚がとても心地よかったんです。たまたま近くで聴いてくださっていた方が『山で音楽を聴く体験っていいですね』と喜んでくれたことで、『山でバンド演奏をやりたい』という気持ちが生まれました」(小田)

「小田さんからそう提案された当時、私は登山未経験だったんです。興味はあったので、メンバーと一緒に小ぶりの楽器を持って山に登り、山頂で演奏してみたら、空気が薄くて歌いづらい上に、音もまったく反響しない。ほかでは味わえない体験だと思ってどんどん夢中になりました」(Hina)

「楽器を背負って登山している姿はとてもキャッチー。そのおかげで、いろいろな方面からバンドを知っていただけるようになった実感があります」(梶)

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登山をともにすることで、唯一無二のグルーヴへと成長

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代表曲「頂き」は、小田が白馬岳の山頂で目にした景色からインスパイアされて制作した楽曲だが、リリース当時、小田以外のメンバーは白馬岳に登った経験がなかったという。

「ライブで『頂き』を歌った後、白馬岳に登ってみたのですが、想像していた以上に山頂が遠くて。『頂きと思って近付くと 道まだ続くと気付いて嫌になる』という冒頭の歌詞が、うまくいかないことも多い人生に通じるという実感が深まりました。登った翌朝にメンバーと一緒に見た朝日は絵画のようで、きっと一生忘れられないと思えるほど美しい景色だった。小田さんが見た景色を共有することで、より深く曲の世界に入り込んで歌うことができる。聴く人にも少しでもその景色を共有してもらえるように、登山から得た感覚を歌ににじませられたらいいなと思って歌っています」(Hina)

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「登山の経験を積み重ねることでHinaちゃんの歌に広がりを感じるようになりました」(小田)

ともに登山経験を重ねることで、歌の説得力が増すだけでなく、バンドのグルーヴが強化された。

「楽器演奏って、『こういうフレーズを弾こう』と思ったとき、自分の中でイメージができていないとうまく弾けないんですよね。共通の登山体験があることで、同じような演奏のベクトルに向かっていけている実感があります」(梶)
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「山×音楽」を軸にした活動をすることで、新たな挑戦への意欲も次々と湧いてくるようだ。

「たとえば、海と音楽を掛け合わせた活動をしているアーティストもいる。音楽となにかを掛け合わせて新たなチャレンジをしている人たちを参考にしながら、いろいろなことに挑戦していく楽しさもあります」(いしはま)

「結成1年目で600人規模のホールライブに挑戦したのが最初のチャレンジでした。その後、白馬山荘、御在所岳の山頂でフェスを開催して、今年再び白馬山荘でのライブに挑みます。ほかのバンドが挑戦しないようなことをやり続けていきたいと思います」(深谷)
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 「山に登ると、下山する頃には『次はどの山に登ろう』と考えてしまう。それと同じように、バンドも常に新たな目標を持っていたい。いま開催中のファーストアルバムのツアーを白馬山荘でのライブで締めくくったら、雪山でのライブを計画したいといまから考えています」(小田)

ポップス、ジャズ、レゲエ……ファーストアルバム『スーパー登山部』はまさにジャンルレス。音楽性も曲のモチーフも、登山から街での暮らしまで実に多彩だ。
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「共通点を挙げるとしたら、自然から受け取ったものを昇華した楽曲であるということ。スーパー登山部を表現する言葉として〝ネイチャーポップ〟というジャンル名がしっくりくるんじゃないかという発見がありました。音を感じるという行為は五感のうちのひとつでしかありませんが、音楽を通して景色や匂いまで感じることができる。五感に訴えかけ、さまざまな感情を呼び起こすような音楽をつくりたいです」(小田)

さらなる頂きを目指す彼らの挑戦に注目したい。

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WORKS
アルバム『スーパー登山部』

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スーパー登山部による、待望のファーストアルバム。話題となった楽曲「燕」をはじめ、ストリーミング未解禁だった楽曲なども含め、バンドの歩みが詰まった全14曲を収録している。

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ライブ「1st Album『スーパー登山部』 Release Traverse」

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ファーストアルバム『スーパー登山部』を引っ提げたワンマンライブ。リリースとツアーファイナルを記念し、長野県にある、標高2832mの白馬山荘(スカイプラザ)で行う。2026年9月1日〜3日まで開催される。

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音楽フェス『NEW ACOUSTIC CAMP 2026』

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山とキャンプと音楽が融合したアウトドアイベント&フェス。今年は、全出演アーティストがアコースティック編成で挑む。9月19日〜20日に群馬県水上高原リゾートにて開催。スーパー登山部は20日に出演する。