GERMANY ドイツ/ロイトリンゲン

ドイツ南部のロイトリンゲンは、今でも中世の面影を残す歴史と現代が混ざり合った都市だ。ここにある倒壊の危機にさらされた歴史的住宅群を支えるため、新たな建物が建設された。古い家屋を安定させると同時に、現代的デザインが施された博物館として機能しており、建築界で大きな注目を集めている。

最古の住宅群を救え!保存計画始まる
ロイトリンゲンのオーバーアムタイ通り28番地から32番地には、14世紀にまで遡る長い歴史を持つ住宅群が残っている。柱や梁などの木造の骨組みを外側に露出させ、隙間をレンガや漆喰などで埋める中世ヨーロッパの「木骨造り」と呼ばれる様式で、700年に渡る建築と居住文化の軌跡を忠実にたどることができる、南ドイツで最も古い連棟住宅の一つだ。
一列になった住宅群全体を支えていたのは、オーバーアムタイ通り34番地にあった「タワーハウス」と呼ばれる巨大な石造りの構造物だった。ところが、この建物は1972年に取り壊され、これにより残りの建物群の位置がずれ、倒壊の危機にさらされていた。そこで、この歴史的住宅群の安定化を図るため、かつてタワーハウスがあった場所に、構造用アンカーとしての機能を果たす建物を建設するプロジェクトが始まった。デザインは、コンペにより選ばれたシュトゥットガルトの設計事務所、ウルフ・アーキテクトン、構造設計は、同じくシュトゥットガルトのstr.uctureが担当した。

透ける骨組み ガラスタイルが見せる技
新たに誕生したのは、元の建物のサイズ感を再現し、古い建築群そのものを展示物として見せる「オーバーアムタイ通り歴史博物館」だ。敷地には、保護対象となっている中世の地下室が存在しており、基礎工事や計画にかなりの制約があったという。そのため、構造的な支点としての本質的機能は果たしつつも、延床面積は225平方メートルとコンパクトだ。
建物は、デジタル技術と伝統的な職人技を融合させ、精密に作り上げられた。地元産の集成材で作られた支持構造は、目に見える木造の骨組みを内部に形成。建築群全体へのバリアフリーなアクセスを可能にするだけでなく、小規模なイベントのためのスペースも生み出している。
ファサードは、2万8477枚の印象的な半透明のガラスタイル覆われている。「ガラスの家」とも呼ばれており、内部の集成材による骨組みの輪郭のみが、外側から透けて見えるようになっている。通路に入ると、内部には構造的な美しさが広がる。光と影、そして木材が作り上げる表情は、展示スペースを際立たせるだけでなく、隣接する木骨造りの家々を引き立たせている。
建築界注目 歴史の新たな保存法を提示
「オーバーアムタイ通り歴史博物館」は、すでに多数の建築賞を受賞。現在もいくつかの権威ある建築賞にノミネートされている。伝統とイノベーションの融合が、歴史的な構造物を保存するだけでなく、新しい形で再生・発展させることができることを示したプロジェクトとして、注目度が高まっている。
Webライター
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。





