【坂本龍一×高谷史郎】同じ瞬間は二度と現れない。巨大スクリーンと立体音響で体感する『async』

  • 文:高橋美礼(デザインジャーナリスト)
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写真は2023年の京都展の様子。京都新聞ビル地下の印刷工場跡を活かして作品を展開した。東京展では、麻布台ヒルズギャラリーに横幅26.4mの巨大スクリーンと立体音響を設置。音と映像の組み合わせが絶えず変化する没入体験を、会場に合わせて再構築する。 坂本龍一+高谷史郎『async - immersion 2023』 Photo: Satoshi Nagare

京都を拠点に、音やアート、空間を通して、その場の環境に身を浸すような体験を生み出す展覧会『AMBIENT KYOTO』。歴史ある建物などを会場に、場所の記憶や雰囲気まで含めた表現で、2022年の初開催以来、反響を呼んできた。

2023年の京都展では、その一環として、坂本龍一とダムタイプの高谷史郎によるインス
タレーション作品「async - immer
sion」を発表。8月に東京・麻布台ヒルズギャラリーで公開される本展では、この作品を会場に合わせて再構築する。京都展と同等の巨大スクリーンに映像を投影し、会場に合わせた立体音響とともに、音楽、映像、空間、そして来場者の感覚が溶け合う作品世界を立ち上げる。

坂本が2017年に発表したアルバム『async』に、高谷による映像と音響ディレクターZAKによる音響を一体化した本作。高谷は、その背景をこう語る。「もともとこのアルバムの制作時に坂本さんの中には『設置音楽』という、『音』を空間に立体的に設置して聴いてもらいたいという考えがありました」

映像には、坂本のスタジオの機材やピアノ、庭、空や雲、水の波紋をはじめ、アイルランドやモロッコ、東京、ドイツの風景、東日本大震災の津波で被災したピアノが映し出される。タイトルの『async』は、「非同期」を意味する言葉。そのコンセプトを反映し、映像と音楽は、一部のテキスト部分などを除いて基本的に同調しない。両者の組み合わせは絶えず変化し、反復しながらも同じ瞬間は現れない。高谷はその感覚を、「波や雨の波紋を見ている時と同じ体験です」と表現する。

発表当時、坂本が「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくない」と語ったという『async』。その空間に身を置き、作品世界を全身で感じたい。

『RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO』

開催中〜10/25 麻布台ヒルズギャラリー
10時〜19時(土・日・祝は〜20時、9/11は〜18時) 無休 
一般¥2,200(平日前売)、¥2,500(土・日・祝前売)
https://ambientkyoto.com