【湖畔のガラス邸宅】壁も窓もすべて斜め。森に現れた驚きの家、その全貌

  • 文:山川真智子
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United States of America アメリカ/ワシントン州

View_2 LR.jpgPhoto:Embers & Oak Storyworks

近年、デザイン性が高く安全性や耐久性にも優れた様々なガラス建築が登場しているが、米ワシントン州の湖畔にすべての表面をガラスで覆った住宅が誕生した。従来の外装材を一切使用せずガラスを組み合わせた多面的な建物は、周囲の風景と融合して独特の存在感を放っている。

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Photo:Embers & Oak Storyworks

湖畔の森の中に出現 クリスタルのような家

Fハウスと名付けられたこの建物は、ワシントン州カークランドにある約680㎡の個人住宅だ。敷地となったのは、ワシントン湖を見下ろす急勾配で樹木が生い茂る土地。周囲には針葉樹の原生林が広がり、湖を挟んでレーニエ山へと続く雄大な景色が見渡せる。カークランドは富裕層が多い住宅地として知られ、特に湖畔の住宅は非常に高額だという。

コンピューターゲーム業界の先駆者であるこの家のオーナーからは、建設にあたり「岩だらけの土地から突き出した氷のような、幻想的な水晶のような構造物にしたい」という希望が出されたという。この想像力豊かなクライアントの構想の実現を請け負ったのが、ロサンゼルスとニューヨークに拠点を持つゴーブル・ベリマン・デザインだ。敷地が持つたぐいまれな自然環境とテクノロジーを融合させ、ユニークな全面ガラス張りの「クリスタルハウス」を完成させた。

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Photo:Embers & Oak Storyworks

視覚的美しさを重視 見えない工夫が随所に 

建物は既存の樹木の間を巧みに縫うように設計され、室内空間は湖、山、そして森へと続く主要な眺望軸に沿って配置されている。エントランスは北側の上層部に設けられており、下層階に配置されたメイン・リビングは、湖岸に向かって作られたテラス状の屋外スペースへと続く。ガレージは母屋から離れた場所に作られており、上階はスタジオになっている。母屋とガレージの間には、壁面緑化された温室タイプのウィンターガーデンと呼ばれるエリアがあり、屋内と屋外が融合した空間となっている。

外装は不規則にカットされたガラスパネルのみで構成されており、それぞれが全体として結晶のような外観を形作っている。視覚的な透明感とエネルギー性能の両方を高めるため、特殊な金属膜をコーティングしたLow-Eガラスが採用された。隣接するガラスパネル間の接合部はシール接着工法で処理され、視覚的にフラットな外装面を形成すると同時に、気密・防水バリアとして機能している。建物を支える鉄骨構造や固定金具、さらには雨どいなどの見栄えのわるい排水設備まで外から見えないように処理されており、エンジニアのこだわりが感じられる。

設計の複雑さを3D CADで調整 型破りなデザインを形に

このプロジェクトでは、複雑な設計の調整を行い詳細な形状を記録するために、統合された3D CAD(3次元コンピュータ支援設計)を採用した。これにより、クライアントは自分の構想が仮想的に構築される様子を確認でき、細部にいたるまで自分のイメージと同じかどうか確認することができたという。

ほぼすべての建築要素が型破りな性質を持っていたため、設計・施行チームにはさらに柔軟性、問題解決力、そしてデザインのビジョンへの深い思い入れが求められたという。チームの力を結集した結果、Fハウスは敷地のダイナミズムとガラスの美しさを存分に引き出した唯一無二の建築となっており、伝統的な家が立ち並ぶ湖畔の住宅地に新しい視点を提示している。

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Photo:Embers & Oak Storyworks

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。