四半世紀にわたり、世界的なデザイナーたちとの協業によって生み出されてきた「ISSEY MIYAKE WATCH プロジェクト」。その最新作として登場したのが、機械式腕時計「TL」である。イッセイ ミヤケ店舗のみで限定販売される特別なモデルを手がけたのは、ニューヨークを拠点とするデザイナー、トッド・ブラッチャーだ。

イッセイ ミヤケの哲学を解釈し、不必要な装飾性を排した「TL」の造形
「イッセイ ミヤケの哲学と向き合い、そのデザインへのアプローチを独自に解釈してきました」と、トッド・ブラッチャーは言う。プロジェクトに指名され、特定の時代や流行に縛られることのない、親しみやすくも本質的な時計のあり方を模索した。「TL」という名は、“Timelessness(時代を超越した普遍性)”という概念に由来する。彼はこうも語る。「私がイッセイ ミヤケに長年感銘を受けてきた点 ― 装飾的ではなく、本質的なオブジェを創造する力 ― を大切にしました。日常的な実用性、機能性、そして美意識が、不必要な表現を介さずに融合されていると思います」

腕時計とはなにか。特定の用途もスタイルも強要しない、静かに息づくGMT
文字盤の構成は極めて独創的だ。外周には12時間、内周には24時間のインデックスが配置されたシンプルな2カ国時刻表示(GMT)を採用している。過剰な装飾を排したデザインは、身に着ける人に特定のスタイルを強要しない。着ける人の生き方と、その周囲の環境が交わることで初めて個性が完成する。イッセイ ミヤケが長年評価されてきた、本質的な対象物を創造する力と深く共鳴するものだ。心臓部には世界的に定評あるセイコー自社製の機械式自動巻きムーブメントが搭載されている。
希望する購入者をISSEY MIYAKE WATCH MEMBERとして登録
クールグレーとグレージュの2色が用意されたレザーバンド仕様は、各色100本、計200本のみの限定生産。それぞれにエディションナンバーが刻まれるとともに、購入者専用の初めての登録制度も設けられた。登録者には、ISSEY MIYAKE WATCHより各種イベントの案内や新作時計の事前情報が届くという。大量消費され忘れ去られていくのではなく、時間とともに使い手の人生に重なっていく時計でありたいという願いが「TL」には込められている。


「TL」には日常のさまざまなシーンを想定した、2種類のケースが付属する。1つは出張や旅行などへの携行を想定した、時計を優しく包む高品質な人工皮革の「プロテクター」。もう一つは、木と紙で作られた温もりある長期保存用のボックスケース。キズや埃から時計を守り、気温や湿度の変化に対して一定の緩衝材の役目を果たす。

トッド・ブラッチャー(Todd Bracher) ●ニューヨークを拠点に活動するインダストリアルデザイナー。ビジネスの目的と人々の真のニーズを結びつけ、時代を超えて持続する意味のあるプロダクトを生み出す「Context-based Design(コンテクスト・ベース・デザイン)」を独自の手法として確立している。これまでにハーマンミラー、3M、ザノッタ、そしてイッセイミヤケなど世界的なトップブランドとの協働を通じ、200を超える製品を世に送り出し、20件以上の特許を取得。家具からインダストリアルデザイン、テクノロジー、ファッションに至るまで幅広い領域で活躍中。デザインアドバイザー、教育者、著述家の顔ももつ。