外とのつながりをもたらす「窓」。アーティストとして“自然”や“光”をモチーフに多くの作品を手掛けるYOSHIROTTENは、都心から90分ほどの場所に構えた別荘兼アトリエの窓に、どのような役割を求めたのだろうか。そして、そこから広がる創作のための空間を、どのように形づくっているのか。自身の創作活動と共鳴する空間づくりの哲学から、彼が考える「愛すべき日常」のあり方と、暮らしのヒントを紐解く。
特集『たいせつなことを、重ねる暮らし』
人と集う、ひとりで過ごす、料理を楽しむ、光や緑を感じる……。自分にとってたいせつなことが、日々の時間に重なっていく。さまざまな人の住まいのこだわりを紐解きながら、愛すべき日常を育むヒントを探ります。
光・音・景色…、窓がもたらす暮らしの豊かさ
都心から車を90分ほど走らせた先にある、静かな森に抱かれた別荘兼アトリエ。1年近く前に新たな創作の拠点として購入し、リノベーションを経て取材の2カ月前に入居したばかりだという。東京・渋谷の高台に構えるオフィスとは対照的に、この場所に求めたのは「森の中に入っていくような感覚」だった。
「東京では都市の夜景や空から刺激をもらい、チームで手掛けているクリエイションにスピーディに向き合う。こちらでは一旦落ち着いて、ひとり静かにデスクトップに向かって、ひとつのアートワークをじっくりつくる。そのメリハリを大切にしています」
このアトリエの印象を決定づけているのが、リビングの壁一面に設けられた大開口の窓だ。ふすまのようにガラス戸を端に寄せて窓を開け放つと、窓枠ごと境界線が消え去る。外の自然が単なる借景ではなく、空間そのものに溶け込んでくるようだ。
「窓から入ってくる光が、季節や時間帯によって部屋の奥まで大きく伸びてくるんです。雨のしとしとという音や、夕方の虫の声が響いてくると、BGMはいらないかもと思う時もあります。そういった自然を体感するために欠かせないのが、この大きな窓。この窓を通じて自然の息づかいを感じながら、自分の気持ちがどう動いていくのかを楽しんでいます」
こうした自然との関係性は、YOSHIROTTENのクリエイションを象徴するプロジェクト「SUN」をはじめ、光や自然をモチーフにした作品群を制作するなかで築いてきたもの。自然の光や景色がもたらす開放感を、自身の作品づくりとも重ね合わせている。
「平面作品をつくるときは、まさにこの大きな窓と同じような感覚でつくっています。作品を見た人の気分がよくなったり、そこから自由に想像を広げていけるようにって。僕はとにかく、なにかに縛られるのが嫌なので、こうした開放的で想像を広げていけるような空間は、いまの自分にとってとても重要なのです」
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小さなこだわりを重ねて、自分らしい空間をつくる
広大な窓がもたらす開放感に呼応するかのように、室内の細部にはYOSHIROTTENの美意識が随所に宿っている。既存の建物を生かしつつも、彼が空間づくりで最も優先したのは「過度な刺激を抑えること」だった。
「刺激的な場所ではなく、自分なりの心地よさを一番大切にしました。たとえば木目って、情報量が多いと思っていて。できるだけ見えないほうがリラックスできて開放的な気分になれるので、もともとあったフローリングの上から全面にやわらかいカーペットを敷いたんです。囲炉裏もありましたが、一緒に閉じました」
視覚的なノイズを減らす工夫は、床だけにとどまらない。壁や造作棚を白く塗装し、空間全体を極力シンプルに整えたのには、彼ならではの明確な理由があった。
「空間全体をギャラリーのようにしたかったんです。そこに人が入ってきたり、食事が並んだり、作品が置かれたりして、初めて空間との関係性が生まれる。そういう状態が一番好きですね」
配置された家具も、その思想に基づいて選ばれている。リビングに置かれた角が丸い大型テーブルや、上階の作業スペースにある壁から張り出すデスクは、彼自身がイメージを描き、特注したものだ。空間のベースは、白からグレー、シルバー、そして薄い木の色へと続くグラデーションで美しく統一されている。自分にとって心地よいと思える家具や素材を選び抜き、小さなこだわりを一つひとつ空間に重ねていったことで、この自然な調和が生まれた。
「たとえば、環境の整ったホテルで作業をしてと言われても、視界に自分が見たくないものがあるとストレスになってしまうんです。だからこそ、全角度どこを見渡しても好きなものしかない、視覚的な我慢をしなくていい空間をつくることが大事で。そうやって自分の心地よさを基準に選び抜いていった結果、訪れた友人たちからも『すごくYOSHIROらしい空間だね』と言われるようになりました。自分らしい環境を整えることは、次の制作へ向かうための大切なベースになっています」
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YOSHIROTTENが考える、「愛すべき日常」とは?
大開口の窓がもたらす自由と開放感、そして自らの美意識が細部まで行き届いたこだわりの空間。そんなアトリエで制作に励むYOSHIROTTENにとっての「愛すべき日常」とはどのようなものなのか。答えはシンプルだった。
「気持ちが開放的になれる場所であること。そして、自分がこれまでにつくってきた好きだと思える作品たちが、ちゃんと身近に置いてある空間にいることですね」
現在、アトリエの各所には彼自身の過去の作品が点在している。それは単に飾っているのではなく、次の創作へ向かうための大切なプロセスだという。
「自分がこれまでつくってきたものたちを年代や内容に関係なくフラットに、空間のそこかしこに点々と置いておく。それをじっくり見るわけではないけれど、日々の暮らしの中でなんとなく視界に入ってきて、身体に馴染んでいく。その感覚を経た上で、次の制作へ向かうコンディションを整えています。自分の状態によって空間は変わるし、空間によって自分の状態も変わっていく。すべてがつながっているんですよね」
人とモノ、そして環境が互いに影響し合う関係性。この“すべてがつながっている”感覚は、彼の展示空間にも表れている。霧島アートの森での個展や、国立競技場でのインスタレーションでも、彼は仕切りの壁を一切立てず、開放された空間で自らの世界観を表現してきた。「壁がないほうがいい。自由でいたい」という彼の言葉は、内と外の境界をなくすこのアトリエのあり方を体現しているようだ。
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LIXILが大切にする“内と外のつながり”
細部までこだわり、全体をひとつの調和へと導くYOSHIROTTENの空間づくり。それは、LIXILが提案する「Design Style」のアプローチとも通じるものがある。窓や建具、キッチンなどの設備を単体で捉えるのではなく、「どんな時間を過ごしたいか」という暮らしのテーマを出発点に、住まい全体をコーディネートしていく。
加えてLIXILが住まいづくりで大切にするのが、“内と外のつながり”だ。庭と室内をシームレスにつなぎ、風や光といった自然の力を暮らしの中へ取り入れる。大きな窓を介して森の景色や光、雨音や虫の声まで室内へと取り込むYOSHIROTTENのアトリエにも、そうした考え方と重なる。
自分らしい空間で過ごす日々は、やがて愛すべき日常となり、豊かな暮らしへとつながる。自然の移ろいを感じながら、こだわりが行き届いた空間で制作に没頭できるYOSHIROTTENのアトリエは、まさに彼にとってのかけがえのない「愛すべき日常」そのものなのだ。
LIXIL Brand Site

「空間と時間のデザイン」に込められた想いや世界観を伝えるLIXILのブランドサイト。あなたの理想の暮らしを紐解く、ブランドストーリーを紹介。
Lifescape Clips

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