世界に選ばれる飲食店は、なぜ生まれるのか。アメックス「SHOP SMALL」が支える街の挑戦

  • 写真:殿村誠士
  • 文:西田嘉孝
  • ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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キャッシュレス決済サービス「Square」とのパートナーシップのもとで開催した、飲食店経営者を対象としたイベント「THE TASTE NOTES」

世界が注目する日本の食。世界に選ばれる飲食店は、なぜ生まれるのか。街で愛される飲食店経営者に出会いとインスピレーションの場を提供し、食文化の豊かさと地域経済の活性化を支えてきたアメリカン・エキスプレスの取り組みを追った。

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アメリカン・エキスプレスがスモールビジネス支援の一環で開催したイベント「THE TASTE NOTES」に参加した「とんかつ乃ぐち」のオーナーシェフ野口典朗氏(撮影:殿村誠士)

街をより豊かで魅力的なものにするうえで、チェーン店とは違う多様な個性や独自のこだわりを持つ街のお店の存在は欠かせない。オーナーの顔が見える小さなお店は、地域の人々が集い交流する場となり、それと同時に街の外から多くの人々を呼び寄せて新たな価値や活気を生む場ともなり得る。

「日本の食は世界一だと思っています。だからこそ僕は、小さくても海外から飛行機に乗ってでも来てもらえるようなお店をつくろうという思いで飲食店経営を行ってきました」。そう話すのは、上質な豚肉を“部位ごとに一貫ずつ”提供するという独自のスタイルで人気を博す「とんかつ乃ぐち」のオーナーシェフである野口典朗氏だ。

「今後、海外で通用するものは何かを考えると、なかなか難しいですが、その中で『食』はまだまだ健在だと思うんです。日本の養豚技術とその肉、さらにはとんかつのディープフライという技術は日本で長年をかけて築き上げられたものです。以前に中津の古いビルで営業していた時も、そこに世界的に有名なシェフが来てくれたりしました」

589TTN20260909.jpg「とんかつ乃ぐち」のオーナーシェフ野口典朗氏(撮影:中澤光生)

大阪・中津で創業した当時から世界への発信を視野に入れていた「とんかつ乃ぐち」は、2025年の大阪・関西万博に個人店として唯一出店。まさに、日本の「街のお店」の実力を世界に知らしめた存在と言える。万博後には大阪の北浜に「OSAKA TONKATSU CLUB」をオープンし、さらに躍進を続けている。

だがそんな彼は一方で、小規模なお店だからこそ経営者として抱える課題は多いとも指摘する。個人店では、経理や振り込みなどのバックオフィス業務も経営者自身が担い、なかなか料理だけに集中できる環境はつくれない。野口氏自身、「僕はずっと調理の現場に入りたい性格で、振り込み作業や経理作業は苦手なんです」という。

また、そうした忙しい環境では、新たな食材や仲間、アイデアに出会うことも困難となる。つまり、地域経済の活性化を考えるうえで、個人経営や中小規模の店舗の経営をどう支えていくかは重要なテーマとなるのだ。

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日本では10年目となる「SHOP SMALL®」

そんな街のお店(スモールビジネス)の支援を長年にわたって行ってきたのが、アメリカン・エキスプレス(以下、アメックス)による小規模店舗の応援の取り組みである「SHOP SMALL」だ。その原点は、2008年のリーマン・ショック後にまで遡る。

米国経済が悪化し、特にスモールビジネスが厳しい状況に置かれるなか、「何か支援できることはないか」という発想から2010年に始まったのがこの取り組み。ブラックフライデーの翌日を「Small Business Saturday」とし、地域の小さな店に足を運んで地元を応援することを呼びかけたのが始まりだった。

日本では約10年前から展開。当初は横浜でスタートし、カード会員がスモールビジネスを利用するきっかけをつくるプロモーションや、店舗オーナーへの販促物の無償提供、ショップオーナーの挑戦を支援する「RISE with SHOP SMALL」、地域の事業者を紹介するマルシェなど、その時々の課題に合わせて取り組みを広げてきた。

そして10年目の節目となる今年、アメックスはキャッシュレス決済サービス「Square」とのパートナーシップのもと、上記のようなプロモーションや販促物提供などを継続しながら、新たな支援の取り組みも実施。それは、飲食店経営者を対象としたイベント「THE TASTE NOTES」の開催だ。

東京・表参道の会場には全国から飲食店経営者が来場し、一方ではサプライヤー5社がイベントにブースを出展した。飲食店経営者とサプライヤーの双方とつながるアメックスならではのイベントであり、会場に集まった人々は普段はなかなか顔を合わせることができない相手との貴重な出会いを楽しんだ。

同イベントに出席したアメックス副社長の津釜宜祥(つがまのりよし)氏は、「今年は、コロナ禍を経て現在も厳しい環境にある飲食店経営者の皆様の支援に繋げたいという思いから、THE TASTE NOTESを企画しました。良い食材やサプライヤーさんなど、参加された飲食店経営者の方々にとって良い出会いの機会になれば嬉しいです」と話した。

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アメリカン・エキスプレス副社長の津釜宜祥氏(撮影:殿村誠士)

経営者と卸業者をつなげる

THE TASTE NOTESのコンセプトは、「次の一皿につながるきっかけを、ここで」。“出会う人や味わい”、“思わず耳を傾けたくなる言葉や食の物語”の一つひとつから、新しいメニューや飲食店経営に繋がるアイデアを得てほしいという思いが込められている。

そんな今回のイベントを象徴する一皿が、鈴商ミートサプライのブースで提供されたとんかつだった。鈴商ミートサプライは、数多くの銘柄豚を目利きして厳選し、枝肉のまま熟成させる独自の「枝枯らし」を経て、脱骨、加工、包装まで一貫して手掛ける食肉卸サプライヤー。その上質な肉を、前出の野口氏が最高のとんかつに仕立て上げた。

DSC2_3417_01.jpg鈴商ミートサプライのブースで来場者に説明をする鈴木基弘取締役(写真右から2番目、撮影:殿村誠士)

鈴商ミートサプライの鈴木基弘取締役は、イベント出展するにあたって野口氏に声をかけた理由を、「自社の豚肉の良さを最大限引き出せるのは野口さん」と考えたからだと語った。世界の美食家から注目される野口氏のとんかつが生まれた背景には、料理人と卸業者の強い結びつきがあったということだ。そして今回のイベントは、こうした飲食店と卸のつながりを新たに生み出す可能性を持った、アメックスならではの空間となっていた。

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「THE TASTE NOTES」の会場では鈴商ミートサプライに加え、イタリア食材などの輸入商材を扱う「佐勇」、豊洲市場の鮮魚仲卸である「マルツ尾清」、幅広いジャンルの食材を扱う総合業務用食材卸の「関東食糧」、業務用酒類・食品卸の「モトハラ」の出展企業5社が試食・試飲を提供し、多くの来場者と交流を行った(撮影:殿村誠士)

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「街のお店」を支援する

来場した飲食店経営者たちはこうした事業者と直接出会って会話することで、仕入れの選択肢を増やすだけでなく、新しいメニューやビジネスの着想も得ることができた。これこそアメックスのSHOP SMALLが、単なる決済サポートを超えて、スモールビジネスオーナーの課題解決に寄り添った幅広い支援を行っていることの好例と言えるだろう。

「小規模な店舗の場合、どう経営していくべきかという情報がすごく重要になるのに、それを得るのが難しい。その中で、今回のイベントを見てもアメックスさんは(小規模店が求めていることを)分かっていて、大切にされていると感じました」と、鈴商ミートサプライの鈴木氏は話す。

野口氏も、「小規模なお店が成功するためにはいろいろな課題がありますが、アメックスさんのような会社がこうしたイベントや、日々の取り組みで支援してくれるのは心強いです」と言う。カード利用そのものについても「経理作業などに手間や時間が取られなくなったことで料理に集中できますし、仕入れなどの場面でカード決済ができるメリットは間違いなくあります」と語った。

「選ばれ続ける店」になるために必要なこと

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会場では「世界一の美食家」と称される浜田岳文氏によるトークセッションも行われた(撮影:殿村誠士)

THE TASTE NOTESでは、世界ナンバーワンのフーディと称される浜田岳文氏によるトークセッションも行われた。テーマは「愛される店には理由がある。食べ手から見える、何度でも通いたくなる店の共通点」だ。

まず浜田氏は、世界から見た東京の特徴として飲食店の多さと層の厚さに言及。「高級店だけでなく比較的手頃な価格帯まで、幅広くレベルの高い店が数多く存在することが日本の食の豊かさを支えている」と語った。会場に集まった飲食店オーナーたちによる街のお店が、地域社会と日本の食文化にとっていかに重要な存在であるかを改めて示した。

一方で浜田氏は、それだけ飲食店が多いからこそ、競争も激しいという事実も指摘する。そこで、客がその店に通う明確な理由が重要になるというのだ。また、客から選ばれ続ける店になるためには、軸を持ちながらも食べる側や流通など外的な要因の変化に合わせてアップデートし、店側も変化し続けることが大切だという。

とはいえ野口氏も指摘したように、日々の営業や料理に忙殺される飲食店オーナーが、外に目を向けることは簡単ではない。「だからこそ、外に出て新しい食材や人、情報に出会える今回のような機会は、シェフの方々にはとても意味のあるものだと思います」と、浜田氏は言う。

出会いが、店の「次の一歩」をつくる

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(撮影:殿村誠士)

THE TASTE NOTESで参加者が得たものは、新たな食材や人との出会いからメニューのアイデアまで多岐にわたる。

ある参加者は、「今日は浜田さんがいらっしゃると聞いて、お話を直接聞けるチャンスなんてなかなかないと思って参加しました」といい、イベントを通じて「世界を相手に仕事をする人たちの意見を聞き、例えばいつものところから仕入れるだけではなくて、自分も新しいことに挑戦したいと思いました」と話してくれた。

また、飲食店経営において、業務効率化が大きな課題になっているとの声も聞かれた。SNSでの情報発信など、料理以外の仕事が増えるなか、支払いのキャッシュレス化や経理作業の自動化、さらにはAIなどの活用も含めて業務を効率化しなければならないという現場の実感だ。

「昔のように美味しいものを料理して、提供していればいいというだけではなくなっています」と、東京・大田区で和食屋を経営する来場者は語った。「そうした中で経理作業をカードで一括管理していくような場面も増えています。アメックスのようなカード会社が、今回のイベントも含めて小さなお店を応援してくれるのはすごくありがたいです」

日本でSHOP SMALLが始まってから10年。スモールビジネス支援の枠組みは、個々の店から、店と店の連携、さらには仕入れ先や地域との連携へと大きく広がっている。

地域に多様な価値を生み出すスモールビジネス。新しい人と出会い、新しい情報を得て、新しい一歩を踏み出す「きっかけ」もまた、その成長の大きな後押しとなる。今回、アメックスがTHE TASTE NOTESで示したのは、そんなスモールビジネス支援の新しい形だった。

 

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※この記事はNewsweek 日本版からの転載です。

アメリカン・エキスプレス 「SHOP SMALL」

www.americanexpress.com/jp/campaigns/shop-small/index.htm