革の手袋のようにふわりと柔らかな本革スエードのシューズ。足を入れると、地面の小石を感じるほど薄い靴底が歩く動作を強く意識させる。室内のルームソックスのまま外出するような、リラックスした身体感覚。厚底ランニングシューズをよく履く者が、久しく忘れていた大人の優雅なフットウェアの世界。周囲の時間がゆったりと静かに流れていくようだ。
どこか懐かしいクタッとしたシューズの愉楽を、まさかアディダス オリジナルスの「スタンスミス」で味わえるとは!靴底を極限まで薄くした派生系の「スタンスミス ロー プロ」のアッパーをスエードに変えたことで、オンリーワンに仕上がったシューズだ。
ショップ別注となるこの一足を手掛けたのは、老舗スニーカーショップの「ビリーズ」。近年のビリーズのアディダス オリジナルスへの別注品には、ひとつの統一した目線がある。それは茶色や黒のスエードを用いた大人趣味であること。ローテクモデルにその傾向が顕著に表れている。大人に(若者にも)シックなシューズを提案する姿勢が実に小気味いい。
記事内に掲載している写真は、10月9日(金)の発売前となる10月頭に一部メディアが招かれたお披露目イベントの様子。その会場で足を入れた実感でこのシューズを紹介している。
大人好みの理由のひとつは、冒頭でお伝えした身体的な心地よさ。さらにもうひとつ見逃せないのが、見た目もラグジュアリーなこと。インソールとアッパーの裏張りが同系色で揃えられ、高級感さえ感じさせる。内側の芯に相当する箇所は人工皮革。スエードにありがちなソックスへの色移りに配慮されている。
作りは最小限といえるミニマルなもので、ヒール部分も柔かい。カカトを潰してスリッパとして履けてしまうほど(傷む心配はあるが)。 外出先から家や職場に戻り、室内で履き替えるシューズとしても役立つ。
靴紐は本体と異なる2本が付属。趣味に応じて付け替えできる。さらにビリーズで店頭購入するときノベルティとして、キルトとビーズのパーツもギフトされる(数量限定)。
実に様々な楽しみ方ができる一足である。しいて気になる点を挙げるなら、爪先やカカトのクッション性にあまり期待できないところか。都会のアスファルト道路を長時間歩くには慣れが必要かもしれない。クッション力が高いテック系シューズから乗り換える人は、大きめサイズを買ってインソールを重ね付けする手もある。「スタンスミス ロー プロ」はカップインソールだから、外してその下に仕込むのもOK。だいぶ歩きやすくなるからどうぞお試しを。
発売される店は、全国のビリーズ各店とビリーズオンラインストア。9日(金)の発売日に先駆けてオンラインストアでは先行予約がはじまっている。確実に入手したい人はチェックしておこう。
「このシューズを履きたいから、こんな服装をしよう」。そんな発想が生まれるほど着こなしを左右するシューズ。世界的なファッショントレンドの流れがスニーカーからレザーシューズへ移行してきたなかで、その間を埋める存在としても確かな存在感を放っている。
BILLY'S
www.billys-tokyo.net/shop/

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。