数あるスコッチウイスキーの中でも、“シングルモルトの王道”として世界中で愛飲される「ザ・グレンリベット」。1824年の創業以来、受け継がれてきたフルーティで華やかな味わいに、新たな表情を加えた限定ボトルが登場する。南仏プロヴァンスの白ワイン樽をはじめ、3種類のフランスワイン樽でフィニッシュを施した「ザ・グレンリベット 12年 プロヴァンス・エディション」だ。名誉マスターブレンダーのサンディ・ヒスロップに、その誕生の背景や味わい、そして新たなザ・グレンリベットの楽しみ方について聞いた。
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ブレンダーたちの“遊び心”から生まれた、新たなザ・グレンリベット
ザ・グレンリベットが大切にするのは、ブランドを象徴する味わいを守りながら、新たな可能性を探り続けること。ブレンディングチームでは日頃からさまざまな実験的プロジェクトに取り組んでおり、今回の「ザ・グレンリベット12年 プロヴァンス・エディション」も、そうした探究の中から生まれた。
「プロヴァンス・エディションが持つのは、ザ・グレンリベット12年と同じDNA。ザ・グレンリベットならではの特長を備えながら、南仏の素晴らしいワイン樽によって、新たな風味のニュアンスが加わっています」
ブレンディングチームが目指したのは、定番の「ザ・グレンリベット12年」の味わいに煌めきをプラスするような、より明るく、華やかで、活気に満ちた新たな表現を生み出すことだった。発想のきっかけとなったのは、ブレンディングチームで開かれたワインの試飲会。そこで試されたさまざまなワインのうち、メンバー全員が注目したのが、南仏プロヴァンスの白ワインだった。
プロヴァンス地方の優れたワイン生産者に与えられる“クリュ・クラッセ・デ・コート・ド・プロヴァンス”の称号を持つ、「シャトー・セント・マルガリート」の白ワイン。ほのかに甘く香ばしい、ショートブレッドを思わせるオークのニュアンスに、「私たちはとても興味を惹かれ、ザ・グレンリベットを熟成させる樽にふさわしいと判断したのです」と、サンディは振り返る。
「我々はザ・グレンリベットを愛する方々に、常に驚きやワクワク感を届けたいと考えています。とはいえ今回のプロジェクトは、私たちブレンダーの自由で楽しい実験からスタートしたもの。必ず製品化しなければならないという制約はなく、あくまでも求めていた味わいに到達できた場合にだけ、発売しようと決めていました」
今回、ザ・グレンリベットとして初めて白ワイン樽を採用したのも、そうしたブレンダーたちの自由な発想と遊び心があったからこそ。伝統的な味わいを守ることと、新しい表現に挑戦すること。その両立を目指すブレンダーたちの姿勢が、ザ・グレンリベットに新たな魅力をもたらした。
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3種のフランスワイン樽が生み出す、華やかで複雑な味わい
「ザ・グレンリベット12年 プロヴァンス・エディション」の味わいをかたちづくるのは、前述した「シャトー・セント・マルガリート」の白ワイン樽に加え、ルーション地方の甘口酒精強化ワインであるリヴザルト樽、そしてボルドー地方の貴腐ワインであるソーテルヌ樽という3種のフランスワイン樽だ。
その香味を最大限に引き出すため、3種のワイン樽ともすべて中身を払い出したばかりのファーストフィル樽を使用。通常の「ザ・グレンリベット12年」に使用する原酒をそれぞれの樽に移し替え、追加の熟成を施した後に独自の比率でブレンドすることで、複層的な香味を生み出した。
「シャトー・セント・マルガリートの白ワイン樽は、フローラルでシトラスのような風味をもたらします。一方で、リヴザルト樽はナッツのような香ばしさや、温かみのあるスパイスのニュアンス、ソーテルヌ樽はオレンジマーマレードやクレームブリュレのような風味を与えてくれます」
重要なのは、ワイン樽で熟成させたそれらの原酒を、完璧なバランスでブレンドすることだったとサンディは話す。
それぞれが個性を放つ樽を使いながら、ザ・グレンリベットらしい味わいと完璧なバランスを保つのは容易ではない。当然、ワイン樽の影響が少しでも強すぎれば、原酒本来の繊細な風味やバランスは損なわれてしまう。そこでブレンディングチームは、フィニッシュの過程で6週間ごとにすべての樽からサンプルを採取。熟成の進み具合を細かくチェックし、最適なバランスを探り続けたという。
ハウススタイルに重なる、ショートブレッドや白桃のニュアンス
「特にこだわったのは、普段からザ・グレンリベットを好んで飲んでいただいている方々に、ある意味ではお馴染みの味わいを感じてもらうこと。その上で、特別なワイン樽を使ったこのウイスキーならではの、もう一段階深い魅力を味わっていただきたいと考えたのです」
サンディがそう説明する「ザ・グレンリベット12年 プロヴァンス・エディション」。実際にグラスに注ぐと、どのような香味が広がるのだろうか。
まず感じられるのは、ザ・グレンリベットらしい甘い洋梨の風味と、芳醇なフローラルノート。「焼きたてのショートブレッドやクリーミーなホワイトチョコレート、そして白桃の風味も特徴的です」と、サンディは話す。
飲めばスイートな果実味を軸に、香ばしい甘さやクリーミーな口当たりが重なり合う。ザ・グレンリベットのハウススタイルと複数のワイン樽がもたらす香味の融合によって、驚くほど複雑な上、より奥行きのある味わいに仕上がっている。
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スコットランドのスぺイサイド地方リベット渓谷で、初めての政府公認蒸留所
今回のようなブランドとしての革新的な挑戦。それを根底で支えるのが、200年以上にわたり受け継がれてきたザ・グレンリベットの伝統だ。
時の英国政府がウイスキーに重税を課したことから始まったスコッチウイスキーの密造時代。ウイスキー造りに理想的な環境が揃うスペイサイドのリベット谷を拠点に、質の高いウイスキーを生み出し、傑出したウイスキー職人として名を馳せたのがザ・グレンリベットの創業者であるジョージ・スミスだった。
スコットランドのスぺイサイド地方リベット渓谷で初めての政府公認蒸留所を取得し、後にグレンリベット蒸留所を創業。密造者仲間から常に命を狙われるほどの激しい反発に遭いながらも、その勇敢な決断によって、現代に通じるスコッチウイスキーの歴史を切り拓いた。
さらに政府公認となった後には、その名声や品質にあやかろうと「グレンリベット」の名を冠した蒸留所やウイスキーが横行。そうした模倣品から自らのウイスキーを守るべくジョージが起こした裁判は、彼の死後の1884年に結審し、以降は本物のザ・グレンリベットにのみ定冠詞の「THE」を付けることが認められている。
蒸留所では、ジョシーズ・ウェルの湧水での仕込みや、150年以上サイズや形状が変わらないポットスチルでの蒸留など、いまも伝統的なウイスキー造りの技術が受け継がれている。
そこから生まれるのは、サンディが「まさにクラシックなスペイサイドモルトであり、スペイサイドのベンチマークというべき味わい」と評するフレーバー。熟した洋梨などの果実や繊細な花々の香り、華やかでありながらバランスの取れた味わいが、ザ・グレンリベットの変わらない個性だ。
まずはストレートで。加水で開く香味や、ハイボールの楽しみも
今回リリースされるプロヴァンス・エディションを、「ぜひ通常のザ・グレンリベット12年と飲み比べて、その違いを楽しんでほしい」と、サンディは話す。
新たなシングルモルトの魅力を味わうなら、最初はストレートで。その後、少量の水を加えて香りや味わいの変化を楽しむのが、サンディのお薦めだ。
「少量の水を加えることで隠れていた香味がより鮮明になり、ショートブレッドや果実などの風味をよりはっきりと感じていただけるはず。複雑でありながら非常になめらか、そしてジューシーな余韻もプロヴァンス・エディションの特徴です」
もちろん、サンディ自身が日本のバーで虜になったというハイボールや、カクテルにして飲むのもいい。
「ハイボールはもちろん、柑橘系を使ったカクテルなどとも素晴らしい相性を見せてくれます。日本のミクソロジストの方々が、このプロヴァンス・エディションを使って、どのような一杯を生み出してくれるのか、いまから楽しみにしています」
定番の「ザ・グレンリベット12年」に受け継がれてきた、フルーティでエレガントな味わい。その確かな個性を土台に、フランスのワイン樽が新たな彩りを添えた「ザ・グレンリベット12年 プロヴァンス・エディション」。まずはストレートでゆったりと、その後は少量の水やソーダを加えながら、樽の違いがもたらす香味の広がりを楽しんでもらいたい。

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