芸術がより身近に感じられる秋。今シーズンは、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画が初来日したり、ヨシロットン(YOSHIROTTEN)が過去最大規模の個展を開催したりと注目の展覧会が続く。そのほか、蜷川実花の原点に触れられる展示や、愛らしいスウェーデン・テキスタイル、さらに巨匠アルベール・マルケの回顧展など見逃せない展示が目白押しだ。
1.【レオナルド・ダ・ヴィンチの名画が初来日】『美しきフェロニエール』、謎の女性の正体に迫る|『ルーヴル美術館展 ルネサンス』展
レオナルドの真筆とされる絵画作品のうち、ルーヴル美術館では5点を所蔵。この作品はその様式や技法の特徴から、『モナ・リザ』の前身として位置付けられている傑作。レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490‒1497年頃 パリ、ルーヴル美術館 Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado国立新美術館で『ルーヴル美術館展 ルネサンス』展が12月13日まで開催中だ。目玉となるのは日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチ作『美しきフェロニエール』。本展は、この作品を取り巻く同時代の芸術の潮流が一望できる展示となっている。膨大なルーヴルのコレクションからテーマ性を持たせて選び抜かれた構成によって、企画展ならではの体験が味わえる。
人間とは何か? 永遠の謎を問いかける肖像画
レオナルドの『モナ・リザ』が東京国立博物館に初来日したのは1974年のこと。まだ海外への旅行者も少なかった時代から約半世紀を経て2026年9月、国立新美術館に『美しきフェロニエール』が来日を果たした。多くの人が世界中を旅することができるようになり、古今東西の名作を現地で鑑賞できるようになった現代は、絵筆をデジタル機器に置き換え、AIを駆使したデジタルアートまで登場するようになった。そんな時代を生きる私たちが、15世紀から16世紀に隆盛を極めたルネサンス美術に改めて向き合うことで、「人間とはなんなのか?」という問いに改めて直面することになるだろう。
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2.宇宙と交信する、キャリア最大の個展へ|『ヨシロットン展 彼方との交信/BEYOND EARTH』

世界的に盛り上がりを見せるポケモンカードゲーム30周年。そのアートワークを手がけているのが、YOSHIROTTENだ。ミュウexやミュウツーex、ピカチュウex、エネルギーカードなどのグラフィックを担当し、大きな話題を呼んだ。そんな彼が、10月30日、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー TOKYO NODEにて、自身過去最大規模となる個展『彼方との交信/BEYOND EARTH』を開催する。今回はYOSHIROTTEN本人にふたつの大きなプロジェクトが同時に動くいま、その舞台裏について単独で話を聞いた。
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3.【蜷川実花が語る、父・蜷川幸雄との最期の日々】10年間残された書斎を再現|『蜷川実花展 はじまりの光』

川口市立美術館 開館記念特別展『蜷川実花展 はじまりの光』が、11月29日まで開催されている。埼玉県川口市は、蜷川実花が幼少期を過ごした地であり、演出家の父・蜷川幸雄の出身地。創作の出発点である写真を軸に、幸雄の書斎を移設した展示や、キルト作家である母・宏子によるキルト作品なども織り交ぜながら、自身のルーツをたどる展覧会となっている。蜷川にとって川口とはどのような場所なのか。両親との記憶、そして今なぜ改めて写真という原点に向き合おうとしているのかについて話を聞いた。
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4.【イケアを彩った北欧デザイン】世田谷美術館にテキスタイル約200点が集結 |『スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン』
モダンでスタイリッシュな佇まいとあたたかみが同居する「北欧デザイン」。いまや日本の暮らしにもすっかり馴染んだ存在だが、フィンランドやデンマークのデザイナーやブランドに比べると、意外にもスウェーデンのテキスタイルはあまり知られていない。世田谷美術館で11月15日まで開催中の『スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン』では、モチーフ、デザイナー、暮らしとの関わりという3つの視点から、その隠れた魅力をひもといている。
8つのテーマでたどる、テキスタイルの物語
「草花」「動物」「サマーバカンス」など、8つのテーマからスウェーデンのテキスタイルを紹介しているのも本展の特徴だ。このうち草花をあしらった植物文様は、最も古い装飾のひとつ。1930年以降は緻密な花模様よりも、装飾性を排したシンプルな表現が主流となっていく。「サマーバカンス」とは、冬の長い同国で誰もが心待ちにする夏休みのイメージをモチーフにしたもの。のどかな風景をカラフルに表しながらも、祝祭的な雰囲気が感じられるのも魅力に映る。
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5.【マティスと競った裸婦も公開】水辺を愛した画家マルケの魅力に触れる、日本では35年ぶりの回顧展|『アルベール・マルケ展』
20世紀フランス絵画の巨匠、アルベール・マルケ(1875~1947年)。生誕150周年を記念して、『開館50周年記念 アルベール・マルケ展』が、東京・西新宿のSOMPO美術館にて12月13日まで開かれている。これまで「マティスの友人」や「フォーヴィスム(野獣派)の画家のひとり」として紹介されがちだったが、日本では35年ぶりとなる本展は、マルケその人の画業に真っ直ぐ光を当てている。
ボルドーからパリへ、フォーヴィスムの時代を駆け抜けて
フランス南西部の港湾都市ボルドーで生まれたマルケは、幼少期から水辺の景色に親しみ、絵の才能を示して母とともにパリへと移住する。そして国立装飾美術学校で学んだ後、ギュスターヴ・モロー教室に入り、マティスらと研鑽を積んだ。『裸婦、通称フォーヴの裸婦』はモロー教室を去る前、マティスと競うように制作したとされる一枚。背景には緑や青などの色彩が点描風に置かれ、伝統的な裸体画の枠組みのなかに、新印象派に倣った実験的な表現が見て取れる。
ただしマルケはフォーヴィスムの時代に身を置きながらも、その図式に収まらない独特なスタイルを模索していった。色彩の理論化へと進んだマティスとは異なり、一貫して観察に基づくリアリズムを志向。裸体画やパリなどの都市を描いた絵画、および水辺の情景を通して、線と色のトーンによる画面構成を探求する。「マルケのグリ」と称される灰色をはじめとした抑制された色彩、明快な構図、簡潔で生き生きとした描線を用いて作品を制作していった。




