巨大なリボンのような美術館、岩を積み重ねたような建物、そしてキノコを思わせる窓のない施設。世界ではいま、常識を覆すようなユニークな建築が次々と生み出されている。見た目のインパクトだけでなく、自然との共生や地域文化とのつながりなど、設計に込められた思想も興味深い。思わず二度見してしまう、世界の驚きの建築3選を紹介する。
【まるで巨大なリボン】中国・蘇州に注目の最新美術館が誕生。観覧車から望む“無限の結び目”が美しすぎる

中国蘇州市に、新しい美術館がオープンした。リボン状に続く屋根の形状が目を引く独創的なデザインだが、建物全体は穏やかに周囲の景観に溶け込んでいる。中国の伝統的な建築スタイルを西洋的な視点から再解釈した野心的かつ繊細なデザインとも言え、過去にもてはやされた派手で奇抜な中国現代建築とは一線を画すものとなっている。
つながる美しい屋根 景観を取り込むギャラリー
蘇州現代美術館は、蘇州市の金鶏湖畔の6万平方メートルの敷地に建てられた。リボンのような連続した屋根の下に12のパビリオンが並ぶ、村のような構造が特徴的だ。12のパビリオンのうち4つが主要な展示スペースとして機能し、残りの8つには壮大なエントランスホール、多目的スペース、劇場、レストランおよび付帯施設が配置されている。デザインは、コペンハーゲンとニューヨークを拠点とする建築設計事務所、ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)が担当した。
この建築では、素材の質感が重要な役割を果たしている。ファサードを覆うのは、波打つような曲面を持つガラスと温かみのある色合いのステンレス鋼だ。一日を通して光を異なる形で反射するため、建物の雰囲気は金鶏湖の上空の空と調和しながら変化する。ガラス張りのギャラリーは、透明性によって景観を内部に取り込み、展示空間を周囲の環境に自然に溶け込ませている。
蘇州の庭園の伝統に根ざしたこの美術館では、風景の中を通り抜ける屋根付きの回廊「廊(ラン)」に展示スペースを結びつける役割を持たせた。連続した回廊が美術館のパビリオン群を縫うように走り、来館者が展示の合間に敷地内を散策することを可能にしている。変化する展覧会や季節に合わせて美術館は柔軟に形を変え、訪れる人の目を楽しませることができるという。

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【岩を歩く建築】緑の巨岩を縫う道、屋上テラスへ続く計画。外壁に植物や動物の居場所をつくる
オランダ・ロッテルダムで、持続可能な未来をテーマにした国際建築コンペが行われ、MVRDVの「Rotterdam ROCKS!」が選ばれた。
社会的企業Shiftが主催する「シフト・エンバシー(Shift Embassy、2032年開業予定)」の計画で、2025年1月に始まったコンペには80案が集まり、最終候補に5組が残った。2026年3月に各チームが最終案を発表し、審査と検証を経てMVRDV案が選出された。
マース川南岸に計画される新地区ウォーターカントに、環境と文化をテーマにした新たな拠点が生まれる。
7つの岩を歩きながら、未来を体験する
「Rotterdam ROCKS!」は、7つの岩を積み重ねたような姿が目を引く建築だ。内部には、展示を体験するためのルートと、ホテルなどの機能につながる2つの動線を設ける。
さらに岩の側面を縫うように、一般に開かれた外部ルートが上へと伸び、展望テラスへとつながる。テラスや水、緑、展示、集いの場を巡りながら、建物そのものを歩いて体験できる構成だ。

Image courtesy of MVRDV

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【巨大なキノコのような、窓のない建築】OMA重松象平がメキシコに建てた「キノコ栽培所」
メキシコ・オアハカの海岸に、窓のない楕円形のコンクリート建築が出現した。まるでキノコを思わせる外観だが、その正体はズバリそのまま、キノコの栽培施設だ。OMA重松象平氏が手がけた機能に忠実な設計は、コミュニティの交流の場としても機能するよう意図されている。

窓なしのバンカーが海岸に立つ
太平洋を見下ろすメキシコ・オアハカの海岸に、コンクリートの楕円形の建物がひっそりと建っている。窓はない。周囲のサボテンと緑の藪の間からのぞくその姿は、宇宙船を思わせる。
この建物は、メキシコ人彫刻家・画家のボスコ・ソディ氏が創設したコミュニティ・アート財団「カサ・ワビ」が所有する、オアハカのアートキャンパスに加わった最新作だ。
約62エーカー(東京ドーム約5個分)の敷地には、日本の建築家・隈研吾氏やポルトガルの建築家・アルヴァロ・シザ氏ら著名建築家の作品が点在する。
そこに新たに完成したのが、オランダを拠点とする建築事務所OMA(Office for Metropolitan Architecture)が設計した「マッシュルーム・パビリオン」(キノコ栽培施設)だ。英デザイン誌のウォールペーパーは、OMAにとしてメキシコで初めて完成した建築になったと指摘する。
OMAのパートナーであり、ニューヨーク事務所で代表を務める重松象平氏が設計を手がけた。彼はその外観をバンカー(壕)になぞらえながら、こう語る。
「これほど美しい景観の中にバンカーのような建物を建てるのは少し逆説的ですが、キノコを育てるという機能には忠実なんです。内部はひとりきりで向き合うような、瞑想的な体験になっています」
