CZECHIA チェコ/プラハ

第二次世界大戦で戦火を免れたチェコの首都プラハには、重厚なロマネスク様式から革新的な現代建築まで、幅広い建築遺産が存在している。あらゆる建築美を受け入れる寛容なこの都市に、収納家具のようなユニークな外観を持つ家が誕生した。独創的でありながら、コンパクトな空間に高い機能性が詰め込まれた、快適な居住空間に仕上がっている。

増築案を変更 敷地内に新たな家を建設
「ワードロープ・ハウス」と名付けられたこの家は、プラハのオジェホフカ地区の住宅地に建てられた。同じ敷地にはもともと6人家族が住む家が建っており、手狭になったため増築してほしいという依頼が、家主から建築事務所のシェープカ・アルヒテクティにあったという。
建築事務所の代表、ヤン・シェープカによれば、既存の家は20世紀初頭に建てられており、その建築様式を保ったまま増築すれば、家の統一感が失われる可能性があったという。そこで、増築ではなく同じ敷地にもう一戸の子供用「離れ」を建てるというアイデアを所有者に提案。同意を得て、5年の歳月をかけて設計・施行が行われた。

小さな空間を有効利用 折りたたみ扉で問題解決
敷地にあるすべての木々を残すため、家は木々の間に配置された。木の根を傷つけない工法で基礎を築き、5×2.5メートルというわずかなスペースに4階建ての住宅が完成した。
建物の下部構造はスチール製の支柱で構成されており、上部は木造構造になっている。部材はあらかじめ別の作業場で製造・加工され、現場でクレーンを用いて組み立てられた。この作業にはわずか1日しかかからなかったという。
建物正面は、窓の役目も持つ大きなガラス壁で覆われている。プライバシーの確保や遮光の必要性が生じたが、折りたたみ式の横引きシャッターが問題を解決した。シャッターは自在に開閉し、開き具合は部屋を使う人が自由に選ぶことが可能だ。「ワードロープ・ハウス」という名前の通り、シャッターをすべて開放すると、家はまるで扉を開いた巨大な収納家具のように見える。
見た目は奇抜 内部はコンパクトかつ機能的
設計者であるシェープカは、母屋と競合することなくこの新しい家の魅力を際立たせることを目指したという。奇抜な外観はもちろん目を引くが、住む人の日常の活動を念頭に置いたコンパクトかつ機能的な内部のレイアウトは、非常によく練られたものだ。
1階は開放的な空間で、屋根付きの休憩スペースとして機能するほか、螺旋階段を経由して家の中に入る玄関の役目も果たしている。2階にはキッチン・ダイニング、3階には娘の部屋、最上階には息子の部屋が作られた。個々の部屋が非常に狭いこともあり、収納スペースは全て備え付けとして工事段階で直接建物に組み込まれている。各部屋にはトイレとシャワーが備わっており、来客用の折り畳み式追加ベッドも用意された。わずか34㎡ほどのスペースに必要なものをすべて収めたレイアウトは、人が実際に生活する上で必要な空間が、いかに少ないかを教えてくれるものでもある。
Webライター
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。




