名作と呼ばれる腕時計には、一つひとつ物語がある。懐中時計から発展した腕時計は、20世紀初頭に世に広まって以降、長い年月をかけて進化を遂げてきた歴史がある。現在は、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの普及によって、「時を知る」という腕時計本来の役割は影を潜めているかもしれない。
それでも、トゥールビヨンや永久カレンダー、ムーンフェイズといった機械式腕時計ならではの機構が我々を魅了し続けるのは、そこに技術者たちが注いできた情熱と創造性、革新のあゆみを止めぬことで伝統を守ってきた“証し”を見るからだろう。この特集では、20世紀の芸術運動とも呼応してきたデザインの潮流や、名作誕生の舞台裏、薄型化への挑戦など、腕時計がたどった“進化”をひも解く。
腕時計の多様化が進む昨今だからこそ、時代を超えても色褪せない、100年先の未来に「クラシック」として永らえる1本を見つけてほしい。
目次
2針からトゥールビヨンまで
腕時計、クラシック主義
- 【特集】2針からトゥールビヨンまで 腕時計、クラシック主義
- 話題作からひも解く、クラシック時計の進化
- 三者三様のクリエイターが語る、伝統の継承と時代に即した変化
マイケル・バスティアン(ブルックス ブラザーズ クリエイティブ ディレクター)
佐野文彦(建築家・アーティスト)
佐藤祐輔(新政酒造 8代目蔵元) - ジャーナリスト4人が説く、腕時計における不変的価値(クラシック)
- 20世紀に華開いた、腕時計のデザイン史
- トゥールビヨンに宿る、最高峰メゾンの魂
- Column
ブライトリングCEOが語る、時計業界として果たすべきサステイナビリティへの責任 - 名作に秘められた、知られざる誕生物語
カルティエ [サントス]
パネライ [ラジオミール]
オメガ [スピードマスター]
フランク ミュラー [トノウ カーベックス] - ドレスウォッチ、最初と最後の一本
- 高級時計を際立たせる、クラシカルな技法と機構
- 果てなき挑戦の先に勝ち取る、「世界最薄」の栄冠
- クラシックスポーツという、古くて新しい選択肢
- LOUIS VUITTON
BEAT SEEKER - Dior
harmony of tradition and innovation - エンポリオ アルマーニ、北の果てへと馳せるサステイナブルな視線
- サンローランを体現する、ベティという女性の魅力
- 【別冊付録】 熟練の技術に裏打ちされた、ブレゲ「クラシック」の美学
- ほか、連載など。