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2009.10.01
定価1,980円(本体1,800円)

茶の湯デザイン

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Contents

《あの“幻”の名特集が、内容を大幅増補して、ついに書籍化!》
その昔、中国から渡来した茶は、時を経て「茶の湯」というアートになった。
戦国の時代に変革のときを迎え、いまも受け継がれる伝統美の極みだ。
ある茶人は、こう言った。「茶の湯の本質は、センスや美意識にある」
千利休が時代の寵児だった頃から、茶の湯はずっと、
互いの美意識を発露して、客をもてなすクリエイティブな遊びだったのだ。
茶室を知り、茶碗の魅力を解き明かし、
茶筅、茶器、茶杓など、茶道具の斬新なデザインに目を瞠る。
そして、茶の湯に欠かせない花、懐石、美しい菓子から抹茶まで、
伝統に磨き上げられた「茶の湯デザイン」を、いまこそ学ぼうではないか。

目次

空間 名席を訪ねて知る、茶室というデザイン

有楽苑 如庵――アイデアに溢れた、 “小気味”よい空間。
大徳寺 三玄院 篁庵――ポスト利休を象徴する、開放的な茶室。
妙喜庵 待庵――わずか二畳に凝縮された、利休の美意識。
大徳寺 孤篷庵 忘筌――時代の変化を取り込む、巧みなデザイン
名席のディテールを伝える、「起こし絵図」

“真・行・草”で知る、茶室という空間。

二条城 黒書院――茶の湯の空間は、書院造りに遡る。
大徳寺 孤篷庵 直入軒――落ち着いた品格が漂う、遠州の書院造り。
大徳寺 聚光院 閑隠席――利休の精神を、随所に感じる草庵。
表千家 不審菴――立体的な天井と、端正な柱が美しく調和。
桂離宮/修学院離宮――茶室と住居が融合した、ふたつの離宮。
床のしつらえにも“真・行・草”がある。

匠が工夫を凝らした、茶室建築の変遷。

現代の茶室空間に、求められるものは?

クリエイターが提案する、モダン茶室。
佐川美術館「樂吉左衞門館」
――水没する小間と水上の広間が、非日常へと誘う。
隈研吾「TEEHAUS」/「浮庵」
――茶室は、素材のよさや可能性を見極める実験室。
椅子とテーブルの茶の湯、「立礼(りゅうれい)」は是か非か。

利休時代、こんな自由な茶室があった!――黄金の茶室/蛍籠

さらに理解を深める、キーワード集。〔一〕

道具

◇茶碗◇茶碗はどのように、変遷してきたか。
樂茶碗――15代続く茶の湯の理想形は、いまなお進化中。
高麗茶碗――茶人たちが見出した、「不完全」という名の美。
国焼茶碗――萩や唐津など、日本で開花した個性豊かな器。

◇茶筅◇カタチに秘められた、流派による美意識。
◇掛軸◇書のなかに、茶会のテーマを象徴する。
◇薄茶器◇茶の湯の奥深さを示す、ミニマルなフォルム
◇濃茶器◇一国一城の価値もあった、ブランド茶入。
◇水指◇“オンリーワン”のためなら、海外発注も。
◇釜◇鋳物ゆえに豊富な、造形のバリエーション
◇茶杓◇茶人自ら手で削る、究極の造形美。
◇箱書◇茶人の心意気が、道具の価値を高める。
◇自然素材◇「使い捨て」にこそ、もてなしの心が宿る。
◇茶人好み◇茶人がアート・ディレクションした名品たち。
◇見立て◇「見立て」「やつし」「取り合わせ」の醍醐味。

さらに理解を深める、キーワード集。〔二〕

花 「花」と「茶の湯」、その絢なる関係とは。

さらに理解を深める、キーワード集。〔三〕

菓子 季節を表し、一期一会の茶席を彩る。

さらに理解を深める、キーワード集。〔四〕

懐石 茶事のための料理、「懐石」を読み解く。

◇盃・椀◇一瞬にして目を奪われる、ユニークな意匠。
◇箸◇崇高な思いが生んだ、機能美の極致。

互いの美意識を交わす、“一客一亭”の茶会。

さらに理解を深める、キーワード集。〔五〕

抹茶 お茶に込められた、もてなしの心。

いちばん美味い抹茶は、ここで作られる。

栄西から始まった、茶の湯の歴史を学ぶ。

私見としての「茶の湯の原理」、試論としての「茶の湯デザイン」

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