巨匠・石ノ森章太郎生誕80周年の今年、ライフワークともいえる『サイボーグ009』を軸に、 石ノ森章太郎という人物像と作品の数々を振り返ってみると、その足跡がどれほど豊かな実りに満ちていたかを実感するだろう。
SF、ヒーローマンガ、少女マンガ、実用マンガ、時代劇、そして人間ドラマ。
どの世代にも必ず、記憶に残っている作品があるはずだ。
※本書は雑誌「Pen」(2012年9月1日号)の「サイボーグ009完全読本。」に、石ノ森の原点ともいえる墨汁一滴や実験的作品「ジュン」の一部などを追加、加筆、再編集をしました。
目次
墨汁一滴から『ジュン』まで、豊饒な萬画世界。
仕事の軌跡と、『009』の変遷を辿る。
神様手塚をうならせた、石ノ森章太郎という才能。
石ノ森章太郎は、どんな人物だったのか。
手塚治虫と石ノ森の不思議な関係。
漫画家仲間に愛され、多くの女性たちも魅了。
約30年間続いた、『サイボーグ009』
誕生の背景と全体像。
世界一周旅行が、名作発想の源だった。
そもそも「サイボーグ」とは、いったい何か?
各エピソードで振り返る、巨編の実像。
<誕生編>
サイボーグ戦士たちの痛みを知り、ともに分かつ不動の原点。
<暗殺者編>
シャープなアクション演出に、〝異形〞の哀しみが漂う。
<ベトナム編>
世界情勢を即座に取り込む、鋭い着眼と貪欲な作家根性。
<ミュートス・サイボーグ編>
打ち切りの悲劇に見舞われた、屈指のバトルアクション編。
<地下帝国“ヨミ”編>
儚くそして激しく完全燃焼した、問答無用のシリーズ最高傑作。
<怪物島編>
連載再開で迎えた、終わりなき闘いの始まり。
<移民編>
優れたSF的発想を通し、未来文明社会の悲劇を綴る。
<天使編>
石ノ森SFのメインテーマを描き、壮大な余韻鳴り響く大作の序曲。
<風の都編>
時代とメディアで技法を変える、作家の変幻自在さが表出した中編。
<エッダ編>
北欧神話を題材に描かれた、スケール感あふれる叙事詩。
<海底ピラミッド編>
読者の熱望でスタートした、オカルティズム炸裂の長編。
<時空間漂流民編>
〈移民編〉の後日譚として進む、最後の連載長編作品。
石ノ森の素晴らしき代弁者たち、『009』の登場人物を分析。
過酷な運命を背負う9人の戦士と、その個性。
バラエティと創造性に富んだキャラクターたち。
改造人間の紡ぐ言葉に、思わず心が震える。
あらゆるジャンルを網羅、いまも根強い人気の名作萬画を読む。
15誌を超えて掲載された、驚異の作品『009』
紙とペンに萬よろずの可能性を込めた、名作群。