名作といまを生きるアーティストのコラボレーションを見よ。『写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策』が開催

  • 文:岩崎香央理

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印象派をはじめとする西洋近代絵画、日本の中世・近代美術など、名作コレクションと現代美術家がセッションし、コレクションに新しい光を当てる——。2020年に開館したアーティゾン美術館による年1回の展覧会『ジャム・セッション』が、4月29日から7月10日まで開催される。第3弾の2022年は、アーティゾン美術館としてはもちろん、前身のブリヂストン美術館時代からもほぼ初めてとなる、写真をテーマにした企画。『写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策』と題し、気鋭の現代写真家ふたりと歴史的名画との競演が繰り広げられる。2020年の鴻池朋子、2021年の森村泰昌といった過去2回の顔ぶれは、いずれも高い評価を得た。今回はどんなコラボレーションとなるのか、ぜひこの目で確かめたい。

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ポール・セザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャ トー・ノワール』1904-1906年頃 石橋財団アーティゾン美術館蔵

1949年生まれの柴田敏雄と、1963年生まれの鈴木理策。世代の違うふたりに共通するのは、写真を通して窺える絵画的表現へのアプローチだ。アーティゾン美術館のキュレーターは、彼らに注目する理由をこう語る。
「海外でも評価が高く、日本を代表する作家。柴田さんは大学で油絵を専攻し、鈴木さんは高校の美術部で絵を描いていたという、二人とも絵画出身のバックグラウンドをもっています。絵画の技法や考え方を写真制作の要とし、特に近代美術を塗り替えたポール・セザンヌへの強い関心が根底にある。当館所蔵の『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』にも影響を受けたと伺っています」

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鈴木理策『サンサシオン 09, C-58』2009年 作家蔵

展覧会のキー・ビジュアルでもある鈴木理策の『サンサシオン』は、敬愛するセザンヌと同じモチーフに真正面から向き合った作品だ。また、もやのかかった山あいに浮かび上がる赤い鉄橋が印象的な、柴田敏雄のランドスケープ写真を観てみよう。自然の風景に存在する構造物が幾何学的に強調され、セザンヌの観察眼との関連を感じさせる。そんな対比を意識しながら展示を巡ると、写真と絵画が互いにこだまし、ジャンルの境界がやがて溶け合っていくようで面白い。

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柴田敏雄『高知県土佐郡大川村』2007年 東京都写真美術館蔵

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左:ピエール・ボナール『桃』1920年 石橋財団アーティゾン美術館蔵 /右:鈴木理策『Still Life 21, ST-127』2021年 作家蔵

「見えるままにものを描くのではない、キュビスムやフォーヴィスムといった20世紀以降の絵画の発展につながる改革を、セザンヌは成し遂げました。柴田さんは抽象絵画を描くように風景を捉え、写真という新しい手法を用いて表現してきた。鈴木さんも、人間がものをどう見ているのかを熟考し、いかに写真で表すかを試みている。その複雑な過程を、彼らが影響を受けた絵画と一緒に展示することで、ひしひしと体感してもらえたらと思います」

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左:ピート・モンドリアン『砂丘』1909年 石橋財団アーティゾン美術館蔵 /右:柴田敏雄『山梨県南巨摩郡身延町』2021年 作家蔵

ふたりが石橋財団コレクションがそれぞれ作品をセレクト。柴田は、被写体の抽象化において藤島武二やモンドリアンと呼応し、鈴木は絵画的視点において、ピエール・ボナールの静物画やマネの自画像と対比させている。展示は6つのセクションに分かれており、ひとつはセザンヌを中心に三者の作品が並ぶ部屋、そして担当学芸員が提示した雪舟『四季山水図』に対し、ふたりがそれぞれ自らセレクトした風景写真と関連づけたセクションも設けている。ほかではなかなか観ることのできない、時代を超えた邂逅に引き込まれるとともに、絵画と写真それぞれが放つ力を再発見できる展覧会だ。

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雪舟『四季山水図』室町時代15世紀 重要文化財 石橋財団アーティゾン美術館蔵

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『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策』

開催期間:4月29日(金・祝)〜7月10日(日])
開催場所:アーティゾン美術館 6 階展示室、4 階展示室内ガラスケース
東京都中央区京橋 1-7-2
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
開館時間:10時〜18時 ※4月29 日を除く金は 20時まで。入館は閉館30分前まで
休館日:月
料金:一般¥1,500(当日窓口) ※ウェブ予約の場合学生無料、一般¥1,200
※臨時休止・展覧会会期や入場可能な日時の変更、入場制限などが行われる場合があります。

www.artizon.museum

【同時開催】
『Transformation 越境から生まれるアート
石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 ピカソとミロの版画 —教育普及企画—』

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  • 文:岩崎香央理

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