手作業で染め上げた、鮮やかなプリントシャツ【大人が長く愛せる、パパスのモノ語り】

  • 写真:長山一樹(still life)、齋藤誠一(shop)
  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)

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パパスというブランドを知っているだろうか? 服づくりの哲学として思いを馳せたのはアメリカの作家、アーネスト・ヘミングウェイだ。彼の作品と同様、普遍性を備えた“本物” の服は多くの男たちを魅了し、愛され続けている。

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80年代の表参道、同潤会アパートから。パパスが生まれた1986年4月に、初めての路面店がオープンした。場所は表参道に面した同潤会青山アパートの2階だ。このアパートは鉄筋コンクリート造りの歴史的建築物で、観光名所としても知られていた。© GYRO PHOTOGRAPHY/amanaimages

もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過そうともパリはきみについてまわる。なぜならパリは移動祝祭日だからだ――偉大なるアメリカの作家、アーネスト・ヘミングウェイが著した『移動祝祭日』の有名なエピグラフだ。

この作家の愛称に由来するブランドがある。1986年創設のパパスだ。仕事も遊びも楽しめる「大人の上質なカジュアル服」をコンセプトに誕生したが、当時そんな志向をもつブランドは日本では他に皆無だった。名の由来に加え、「ヘミングウェイが着たら、似合いそうな服」を想定して服づくりが進められた稀有なブランドだ。

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まるで雑誌のような『パパスブック』。最新コレクションの発信だけでなく、読み物なども充実した、まるで雑誌のような『パパスブック』。店内で配布されていたこの冊子を集めていた人も多いという。写真は創刊号から3号目まで。

丈夫で長持ち、いったん気に入ったらボロボロになるまで愛用する。これがヘミングウェイ流の服との付き合い方というものだ。ならば飽きのこないデザインで、なおかつ身体や気持ちがほぐれ、心地よく過ごせる服をつくるべきだと考えられた。そのために、厳選した上質な素材だけを使い、日本国内の熟練職人に依頼し、縫製から染色まで手間と時間をかけて服を手がける。新品の堅苦しい服はヘミングウェイのイメージには合わないと、製品に洗いをかけてすぐに身体に馴染むような仕上げを施す。その理念や服づくりは36年目を迎えたいまも変わっていない。

多くの人は服を纏った瞬間の着心地を感覚で覚えているものだ。パパスの服に一度袖を通せば、その優しい着心地を決して忘れることはない。それはパリでの青春を綴ったヘミングウェイの名文にも通じることだろう。

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パパス 丸の内本店。メンズのパパスとレディスのマドモアゼルノンノンの最新ウエアが勢揃いした、ブランドの世界観を体現する旗艦店。パリの下町を連想させるパパスカフェも併設するなど、まるで海外にいるような気分で買い物が楽しめるショップだ。

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手作業による、鮮やかなプリントシャツ

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プリントシャツ各¥39,600(税込)/ともにパパス(パパス)

プリントシャツはパパスには欠かせないアイテムだ。機械によるプリントでは1枚7色までが限界だが、パパスでは元絵を描くことから染色まですべて手作業で行う。平均13色、多い時には16色も使われる。その手法は染色の原点ともいえる手捺染(てなっせん)だ。1色ごとに柄を描き、生地にハケで染料を入れて刷っていく。1色の染色を仕上げたら乾燥させて2色目に。色の数だけこの作業を繰り返す。繊細な柄の線、美しい色合いがハンドプリントの特徴で、絵柄にはほっと落ち着ける温かみさえ宿る。職人技が光る、見事なプリントだ。

写真のシャツは、パパスがオリジナルで開発した機械で織られた特別なリネンを用いたもの。節(ネップ)を取ることでなめらかな肌触りを実現した。製品洗いを施しているので、長年愛用しているようなほどよいヴィンテージ感と快適な着心地が味わえる。まさに、ヘミングウェイの名著『老人と海』の主人公、年老いた漁師サンチャゴが身に着けていそうなプリントシャツだといえるだろう。

PAPAS 丸の内本店

住所:東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル 1F
TEL:03-3284-8847
営業時間:11時~19時 
定休日:不定休

問い合わせ先/パパス TEL:03-5469-7860 
https://papas.jpn.com

手作業で染め上げた、鮮やかなプリントシャツ【大人が長く愛せる、パパスのモノ語り】

  • 写真:長山一樹(still life)、齋藤誠一(shop)
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