琉球の伝統と原風景に出合う、「星のや竹富島」での特別なひと時

  • 写真:秋田大輔
  • 文:真下武久

Share:

圧倒的な非日常をコンセプトに掲げる「星のや」。なかでもひと際旅情を誘うのが、沖縄の離島に構える「星のや竹富島」だ。琉球の伝統食材の旬は、実は冬。観光客もまばらないまこそ、島の魅力に出合う集落へ。

hoshinoya_01_DSC0263.jpg
客室はすべて木造建築の平屋造り。竹富島の東集落にある国の重要文化財「旧与那国家住宅」をモデルとしている。写真は琉球畳が敷き詰められた客室「キャンギ」

hoshinoya_02_DSC0096-ARW_DxO_DeepPRIME.jpg
客室はすべて南向きで、南側に全面開放の縁側リビングが配されている。島で幸せを運ぶとされる南風(ぱいかじ)が吹き抜ける設計。

石垣島からフェリーにゆられ約10分。さらにクルマで外周道路を経て、未舗装の道を5分も行くと、亜熱帯のジャングルの奥に琉球赤瓦の家並みが見えてくる。このアプローチの時点で、誰しも非日常の世界へと誘われてしまう。

竹富島には3つの集落が存在するが、ここ「星のや竹富島」は言うならば4つ目の集落。グックと呼ばれる珊瑚石の石垣に囲まれた集落には白砂の小径が曲がりくねり、月桃やフクギといった南洋の植物に溶け込むように48棟の赤瓦の一軒家が点在している。集落の中央には24時間対応の加温式プールがあり、ビーチまでも歩いてすぐと、リゾートとしても申し分ない。

hoshinoya_03_DJI_0050-DNG_DxO_DeepPRIME-Edit.jpg
島の南東部、約2万坪の広大な敷地に48棟の一軒家の客室が点在する。紺碧に染まる海を隔てて奥に見えるのは石垣島。

hoshinoya_04_DSC0711.jpg
島内の集落を散策すると、水牛車や赤瓦屋根の街並みなど、沖縄の昔ながらの暮らしを垣間見ることができる。

さらに竹富島での滞在を特別なものにしてくれるのが美食の存在だ。「島テロワール」と銘打たれたディナーコースでは、島の食文化を反映した新発想のフレンチが供される。たとえば、植物由来食品の「ディーツ」は豆や芋を主食にしてきた島の暮らしへのオマージュ。

医者がいなかった島では昔から野草やハーブを命草(ぬちぐさ)と呼んで薬代わりにしてきたが、その命草をソースや副菜に活かしているのも特徴だ。「島の食材の旬は冬。命草や島野菜は味が凝縮するし、肉や魚介類も身が引き締まります」と中洲達郎総料理長は語る。

冬の竹富島には沖縄に通い慣れたリピーターが多いと聞く。それは冬にこそ、沖縄の美食と島の素顔に出合えるから。

hoshinoya_05_DSC0804-ARW_DxO_DeepPRIME.jpg
hoshinoya_06_DSC0908-ARW_DxO_DeepPRIME.jpg
左:ディナーコースより、豆や芋が主食だった竹富島の食文化を反映した「ディーツのクネル シェーブルクリームソース」。ディーツとは、おからとコンニャクを原料とした植物由来食品。弾力ある食感と、山羊乳から成るシェーブルソースのコクが好相性。 右:「熟成黒毛和牛のグリル フーチバの香り」。フーチバ(ヨモギの一種)や長命草といった香り高い命草のピュレが、熟成肉の旨味と甘みをグッと引き立てる。

hoshinoya_07_DSC0480-ARW_DxO_DeepPRIME.jpg
「島テロワール」のアペリティフは、亜熱帯のジャングルに囲まれた「風のテラス」で。

星のや竹富島

住所:沖縄県八重山郡竹富町竹富
TEL:0980-84-5888
全48室
料金:1室¥112,000~ ※税・サービス料込、食事別
アクセス:竹富港より専用車にて無料送迎

星のや総合予約 TEL:050-3134-8091
https://hoshinoya.com