東京都庭園美術館の照明器具が、部屋ごとにこれほどバラエティ豊かとは !!

  • 写真・文:一史

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1933年に建立し、50年後の1983年に美術館になった「東京都庭園美術館」
皇室の宮家の所有→総理大臣仮公邸→迎賓館→プリンスホテル本社→東京都の所有という、社会構造の変化そのものの広大なスペース。
メインの建物である本館が昔のまま残っているのは、安易な改装がタブーに思えるルーツゆえでしょうか。
植物や昆虫らをモチーフにした具象的なアール・ヌーヴォー形式に続く、抽象的なアール・デコ形式の洋館です。
現在は国指定重要文化財の位置づけ。

東京における自分のなかで別格の存在感の建物です。
さほど行かないのになぜ特別なのか考えたら、若かりし学生時代の記憶に行き着きました。
世界写真史の頂点に立つフランス人スナップ写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンのクラシックなモノクロ写真展を観に行ったのがはじめての庭園美術館。
いまだに尊敬する写真家を思い浮かべるとブレッソンが筆頭に挙がるほど、イチ大学生には強烈なインパクトがあったんです。
作品が展示された、これまたクラシックな室内空間とともに。

その庭園美術館 本館をこのたび撮影できる機会に恵まれました。
PRADA主催の招待イベントの特典として、閉館時間後にも閲覧できまして。
ここぞとばかりに気になった箇所をガシガシ記録してきました。

そのなかから今回、部屋のシーリングライトを中心にした照明器具約10型をご紹介します。
はじめて内装をじっくり見て気づいたのですが、部屋ごとに廊下ごとに照明が違うんです!
室内構造や調度品とリンクさせたデザイン。
派手なゴージャスさとは距離を置く趣味のよさ。
アンティーク好き垂涎でしょう。

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廊下のワンシーン。
最高に好きです、これ。
床は市松模様。

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これはガラス工芸作家ルネ・ラリックによるもの。
さすがの立体感ですね。
その一方で「庭園美術館といえばラリック」のイメージがありますが、彼の作品数はさほど多くないようです。

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こちらもラリックのデザイン。
シャンデリアを真下から見上げたのが次の写真です。

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鏡の丸い曲線、壁の直線、布カーテンのドレープとマッチするシーリングライト。
元が女性の部屋だけあり可憐な雰囲気です。

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書庫にはポツンとライトがひとつだけ。
まるで絵画のよう。

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洗面台にも洗練されたデコレーションが。
印刷技術が稚拙だったころの黒白2色刷り版画のようにミニマル。

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照明を主にデザインしたのは、天皇家の調度品などを製作した役所「内匠寮(ないしょうりょう)」。
大広間といった公に使う部屋の内装や装飾はフランス人デザイナーによるもので、プライベートな部屋の内装は同じく内巧寮が多く手掛けているようです。
海外渡航もままならない時代にヨーロッパの最先端デザインを学び吸収することがどれほどたいへんだったか。
役所勤めの人がそれをやってたと思うと……現代ではどーなんでしょうね w
美的感覚や美意識は、就職して上司にマニュアルで教わるようなものでなく、個々の感情の高まりに基づくものですし。

さて!庭園美術館は現在、建物だけを見せる年イチの展覧会「邸宅の記憶」を6月4日(日)まで開催中。
この展覧会だけ一般撮影OKです。
(動画はNG)
わたしが行ったときはモード関係者貸し切り状態でしたが、ご興味ある方はこの展覧会をお見逃しなく。
次回以降のこのブログ「Pen Online コラムニスト」では今回の「照明編」に続き、さらにマニアックな「ディテール編」をお届けする予定です!

All photos&text©KAZUSHI

KAZUSHI instagram
www.instagram.com/kazushikazu/?hl=ja

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【画像】東京都庭園美術館の照明器具が、部屋ごとにこれほどバラエティ豊かとは !!

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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