【インタビュー】公共空間で体感する、大迫力のジェネラティブ・アート『Poems in Codeージェネラティブ・アートの現在/プログラミングで生成される映像』展

  • 文:久保寺潤子

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ザック・リーバーマンは、クリエイティブ・コーディングのためのオープンソースツール「openFrameworks」の共同開発者で、コードを通じた詩的表現の可能性を探る学校SFPCの共同設立者でもある。

恵比寿映像祭2024とシビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]の共同開催となるオフサイト展示『Poems in Code ジェネラティブ・アートの現在/プログラミングで生成される映像』が2月18日(日)まで開催中だ。国内外の招待作家12組と気鋭のアーティスト15組によるジェネラティブ・アートが、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場に設置された巨大スクリーンで一挙上映。プログラムディレクションを担当したアーティストの高尾俊介さんに見どころを聞いた。

「近年、NFTやブロックチェーンの進化によって多くの人がパーソナルコンピュータを使ってアートを作れるようになりました。ジェネラティブ・アートはコンピュータを介して偶然性や計算可能性、規則性、自律性といった複数の要素を組み合わせて生成される芸術の総称です。プログラミングによる芸術は、ブロックチェーンというシステムによって公に管理されることで固有の名前を獲得し、パーソナルな作品として世界中の人と共有することが可能になりました」

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メディアテクノロジーと身の回りのものを融合させ、日常に新しい視点をもたらすインスタレーションやデジタルサイネージ(電子看板)を活用した作品を発表しているセオ・ヒョジュン。CCBTのワークショップでは高尾俊介とともに講師を担当した。

招待作家の中には30年前からジェネラティブ・アートの活動を続けているジョシュア・デイヴィスや、ソフトウェア自体を開発したケイシー・リース、MITのメディアラボで最先端の研究を行うザック・リーバーマンといったレジェンドアーティストが登場。これらに加え、ここ数年目覚ましい活躍を遂げているアジアのアーティストにも注目してほしいと高尾さんは言う。「日本からは江原彩子、mole^3、私、韓国からはセオ・ヒョジョン、台湾からはeziraros、ブルネイからはYazidが出展します。国際色豊かなラインナップも見どころの一つです」

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コンサートなどのVJ、AIとジェネラティブ・アートを組み合わせた制作活動を続ける江原彩子。花などをモチーフにした独自のスタイルで、世界中をキラキラしたものであふれさせることを目指す。

 

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筑波大学芸術専門学群を卒業し木版画作家として活動していたmole^3。コーディング=版、画面に出力したもの=摺った図版ととらえ、版画における構造や製作過程、かさねの思想をアニメーションに投影する。

高尾さんは2021年に作品『ジェネラティブ・マスクス』として累計1万種類の仮面の映ビジュアルを制作。NFT上で販売した利益をジェネラティブアート振興財団をはじめ、複数のジェネラティブ・アートに貢献する組織に寄付している。「デイリーコーディングといって日々コードを書いては公開するという活動を続けていますが、今回参加してくれたアーティストたちも同じようにそれぞれが独自の試みを行っています。ザック・リーバーマンは家族のスナップショットなど身近な素材をコードで操作したり、ezirarosは台湾の街並みを精密なアニメーションで構築・解体し、社会的な状況を表現しています」

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台湾の街並みを描いたezirarosの作品。ウェブデザイナー、フロントエンド開発者としても活躍する台湾のジェネラティブアーティスト。フレームごとに丹念に構築した生成画像を得意とする。

 

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日記のように毎日プログラムを書く「デイリーコーディング」を提唱している高尾俊介。21年にNFTアートプロジェクト「ジェネラティブマスクス」を発表し、ジェネラティブアート振興財団を設立。甲南女子大学文学部メディア表現学科准教授。

これらの招待作家とともに作品を上映するのは、昨年CCBTが開催したワークショップ「未来提案型キャンプ」に参加した15名のアーティストだ。「年齢も職業もさまざまなバックグラウンドを持った方が参加しています。専門的なアートの知識や技術がなくてもコードは誰でも書くことができます。子どもから大人まで誰もが楽しんで取り組める、非常に民主的なツールといえるでしょう」

21世紀に入ってデジタルアートやメディアアートの存在が身近になり、ジェネラティブ・アートの台頭によって誰もがパーソナルな作品をネット上で公開できる時代となった。「コンピュータでつくった作品には人の温もりがないから芸術ではない」、「NFTアートはお金儲けのためにやっているのでは?」といった疑念はそろそろ払拭したほうがいい。プログラミング言語を使って詩的な世界を描くことのできるジェネラティブ・アートは、人類が根源的に持っている表現への欲求に応えてくれるものだ。公共空間で繰り広げられる圧倒的な映像美がそれを証明している。

恵比寿映像祭2024オフサイト展示『Poems in Codeージェネラティブ・アートの現在/プログラミングで生成される映像』

開催期間:2024年2月2日(金)〜2024年2月18日(日)
開催期間:10時〜20時
開催場所:恵比寿ガーデンプレイスセンター広場
東京都渋谷区恵比寿4-20
https://ccbt.rekibun.or.jp