空港近くは都会にはない広い空が広がっている。航空写真家として活躍するチャーリィ古庄さんに、空港近くのビューポイントを教えてもらった。

飛行機は世界の知らない街へと飛んで行き、旅情をそそる特別な乗り物。異国から飛来した珍しいエアラインの機体を眺め、行き先はどんなところなのだろう?　どこを飛んできたのだろう?　と想像をふくらませるだけでワクワクした気分になれる。

数年前、NHKの「ドキュメント72時間」という番組で、成田の「さくらの山公園」が選ばれた回があった。飛行機を見に来るのは、航空機ファンだけでなく、大切な人を空港に迎えに来る人、病気を患って希望をもらうために来た人、デート中のカップル、真剣に離陸を見つめる若いパイロットなど多彩な顔ぶれ。

私は航空写真家として世界5 00以上の空港を訪れているが、世界と比べても日本は空港内や隣接した場所に展望デッキや公園が整備されていることが多く、広い空と飛行機を眺めやすい。もはや、これは文化なのではないかと思うほどである。海外で展望デッキがある空港は欧州の一部のみ。北米にいたっては皆無で、周辺の公園も整備されていない。

同じ場所から飛行機を眺めても、光、空の色、時間帯、季節、天気によって毎回新鮮だ。訪れるごとに違う飛行機と景色のコラボレーションとの出合いは何年通っても飽きがこない。もちろん、素晴らしいシーンが展開するラッキーな日もあれば、なにも見られないこともある。シャッターを一枚も押せず帰ることがあっても、空港周辺の絶景が広がる場所に行くことはやめられない。

今回紹介したビューポイント以外にも日本には定期便が就航する空港が約100カ所あり、それぞれの場所の個性や風景がある。そこでは、遠い街や外国から飛来した飛行機の勇姿から、元気をもらうことができる。

📍成田空港　さくらの山公園

名前の通り、春になると500本のさくらが咲き乱れる公園で、成田空港A滑走路が一望できる人気の場所。特に南風の午後は目前に大型機が着陸するシーンが見られる。成田空港は100社以上のエアラインが就航しているため、各国の色とりどりの翼を見ることができるのも魅力。ジャンボの愛称で知られているボーイングの最大機種、747型機も貨物機として飛来する。

📍羽田空港　城南島海浜公園

東京都が管理する公園で、広い敷地に遊歩道、芝生、砂浜やバーベキュー施設などがある。ここでは羽田空港を離着陸する飛行機を眺めることができる。

お薦めは南風の日で、時間帯にもよるが目前を羽田空港B滑走路に着陸する機体が頭上を飛んでいく。夕方や朝は空港のラッシュアワー。

数分おきに飛来する飛行機を見ることができ、飽きることがない。

📍羽田空港　イノベーションシティ周辺

2023年にフルオープンした複合施設、イノベーションシティ。オフィス、ホテル、ライブハウスなどがあり「足湯スカイデッキ」と呼ばれる場所からの眺めがいい。

南風が吹く15時以降でB滑走路を使用する時は目前で離陸してゆく迫力ある飛行機を眺めることができる。

周辺には羽田エアポートガーデン、ソラムナードと呼ばれる散歩道もあり、軽い運動をすることもできる。

📍富士山静岡空港

2024年に開港15周年を迎えた「富士山静岡空港」。

「富士山」と名称にあるように富士山を望むことができる空港だが、天気次第で山の見え方は大きく変わる。富士山と飛行機の絡みを狙いに訪れる飛行機ファンも多い。

ターミナル隣接の展望デッキもいいが、徒歩5分の位置にある石雲院展望デッキ（24年7/15まで工事閉鎖中）は飛行機を近い位置から眺めることができる。

📍伊丹空港　千里川土手

大阪府豊中市の公式ホームページでも紹介されるほど有名なビューポイント。

伊丹空港南東側に隣接した千里川の小さい河川敷に航空ファン垂涎のスポットがある。

伊丹空港はA滑走路とB滑走路の2本の滑走路があり、ここはA滑走路端に隣接している。着陸時の機体が広角レンズを使用しても収まらないくらい機体が近い。将来は公園にする構想も噂されている場所だ。

 

📍福岡空港国内線　展望デッキ

博多駅から地下鉄で2駅という、街中からアクセスが抜群によい福岡空港。近年、ターミナルビルはリニューアルされ展望デッキも新しくなった。

JALの最新鋭機エアバスA350やボーイング787といった国内線主力機が目の前を通過するシーンを見ることができる。

駐機場や滑走路も近く、背景には福岡市内の街並みとともに夕焼けも望むことができる。

 

 

📍那覇空港　瀬長島ウミカジテラス

那覇空港南側に位置する瀬長島にあるビューポイント。

島と言っても沖縄本島と陸続きになっており、ホテル施設に加え「瀬長島ウミカジテラス」と呼ばれるリゾート施設は地元の人にも観光客にも人気となっている。

那覇空港は2本の滑走路があるが海側は着陸で使用することが多く、晴れて視界がよい北風の日は、写真のような風景の中で飛行機を見ることができる。