エルメス/オー デ コロン
《オー ドゥ パンプルムス ローズ》
華やかさ ★★☆
リラックス感 ★★★
持続性 ★☆☆
世界的な調香師、ジャン=クロード・エレナが携わり、豊富な素材が香りを通して喜びを呼び起こす“コロン エルメス”。グレープフルーツの風味豊かで力強い香りに、天然のローズを加えることで柑橘系フレグランスのさらなる可能性を拓いた名品。
---fadeinPager---
ラボラトリオ オルファティーボ/リモーヌ
華やかさ ★☆☆
リラックス感 ★★☆
持続性 ★★☆
“嗅覚の実験室”の意味を持ち、若手随一の調香師たちが参加するイタリア発のブランド。瑞々しいレモンの香りにスパイシーな香調を加え、大人っぽさと親近感を両立する。爽やかな印象から健康的なセクシーさに変化していく香りが魅力。
---fadeinPager---
アクア ディ パルマ/ブルー メディテラネオ ベルガモット オーデトワレ
華やかさ ★★☆
リラックス感 ★☆☆
持続性 ★☆☆
地中海の太陽や色をイメージしたフレグランスライン「ブルー メディテラネオ」。本品は自然にあふれ、ベルガモットの産地であるイタリア・カラブリアに着想を得た香り。フレッシュさの中に温かみを感じる洗練された趣を持つ。
---fadeinPager---
モルトンブラウン/サンリット クレメンタイン&ベチバー オードパルファン
華やかさ ★★★
リラックス感 ★☆☆
持続性 ★★★
1971年に誕生した、英国王室御用達として知られるイギリスのフレグランスブランド。5月に発売された新製品は夏を謳歌するための香り、前向きになれる幸福感が漂うクレメンタインの豊かな性質を表現している。
---fadeinPager---
夏本番。暑苦しさとモヤモヤした気分を和らげるならどんな香水がいい? 今月、当研究所の所長に迎えたのは、フレグランスアドバイザーのMAHOさん。夏のフレグランス使いの極意を訊いた。
――一歩外に出るだけで、汗がだらだら出てくる季節です。
MAHO そんな嫌な気分を解消する方法のひとつとして、香りを纏うフレグランスは効果的です。自分自身のリフレッシュにも、会う人に対する身だしなみにもぜひ利用してほしいと思います。
――つける習慣のない男性も多いですが、どんなタイミングで、どうつけるのがいいでしょうか?
MAHO 朝服を着る時など、汗をかく前につけると全身をやわらかい香りで包むことができます。手首と首まわりにこすりつける人がいるのですが、香りが強くなりすぎるので薦めていません。また、こすることで香りが変化してしまいます。品よく優しく香らせるには、両側の脇腹と両足の腿裏、さらに汗で香りが消えやすい夏は、肩から腕にかけてのショルダーラインにつけるのが望ましいです。肌が濡れるほど近くからではなく、20〜30㎝ほど離して霧の状態で肌に振りかけてください。
――外出時に汗をかいたらつけ直したくなります。その時のコツはありますか?
MAHO つけ直すと気分転換になりますよね。ただ注意点がひとつ。香水は汗の匂いを隠すものではありません。汗の上からつけると正しく香らないので、ハンカチやウェットシートで汗を拭き取ってからにしてください。
――いまの時期に合うのは、どのような香りですか?
MAHO 湿度が高くて暑苦しい日本の夏は爽やかな「柑橘系」の香りがお薦めです。柑橘系の素材は揮発性が高いので、甘すぎず重すぎず、でもすぐに香りが実感できるという特徴があります。香りが比較的残りにくく、つけすぎで失敗することも少ないでしょう。
――初心者でも安心ですね。
MAHO 今回は柑橘系の中でも代表的なレモン、グレープフルーツ、ベルガモット、オレンジの4種類の香りを紹介します。レモンは素直な爽やかさでほのかに甘く、誰もがかいだことのある親近感が魅力。レモンをおもな香料にしている「リモーヌ」は、スパイシー感を足して香りに奥行きをもたせた香水。開放感があるので旅やバカンスでつけてみては? グレープフルーツは柑橘の奥に感じるほろ苦さが洗練された印象を与えてくれます。「オー デ コロン《オー ドゥ パンプルムス ローズ》」は、すっきりしたグレープフルーツにローズのやわらかいフローラル感を添えた繊細な香り。相手にも安心感を与えるでしょう。
――柑橘に他の素材が加わることで、香りに奥行きが出ますね。
MAHO ちなみに柑橘の香料は果肉ではなく皮から採取されています。ベルガモットはほとんどが香水の原料や紅茶の香りづけに使われるミカン科の果物。柑橘に花、木の要素が絡み合った深みのある香りです。「ブルー メディテラネオ ベルガモット オーデトワレ」はウッディ感を強調したブレンドで、爽やかさに加え知的さも感じさせるので、ビジネスシーンで映えるのではないでしょうか。最後にオレンジは、レモンやグレープフルーツと異なる酸みの少ない甘みが特徴。「サンリット クレメンタイン&ベチバー オードパルファン」は、クレメンタインという金柑に似た酸みと甘みを凝縮した品種がおもな素材です。そこにベチパーという植物でスモーキーさを足して、大人っぽい華やかさを醸し出しています。人で賑わうパーティなどに合うでしょう。
―― 同じ柑橘でも多彩ですね。
MAHO 気分や場面に合う香りを見つけてください。
フレグランスアドバイザー MAHO
フレグランス企業での勤務や調香師に師事した後、独立。日本フレグランス協会常任講師としてフレグランスセールススペシャリストの育成に尽力。香水のカウンセリングを行うプライベートサロン主宰。※この記事はPen 2024年9月号より再編集した記事です。