ふたりの作曲家を通して知る、時空を超えた室内楽の楽しみ方

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『ブルックナー&ミヨー/ミュージックダイアログ・アンサンブル』

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ミュージックダイアログ・アンサンブル キングレコード KICC-1619 ¥3,300

若手演奏家に、室内楽の演奏を通して音楽大学では学べないような作曲家と作品を深く掘り下げる機会を提供してきたミュージックダイアログが今年で設立10周年を迎えた。記念年に初リリースされた録音は、生誕200周年を迎えたブルックナーの珍しい室内楽曲だ。慈しみに満ちた第1楽章もよいが、無神論者さえも神の存在を信じてしまいそうになる第3楽章は格別。併録のミヨーも傑作だ。アフリカ民話の世界観を喜びと悲しみが同居するブルース的な音楽で表現しており、等身大の幸せを感じられる。

※この記事はPen 2024年12月号より再編集した記事です。