きっかけは細野晴臣からのラブコール? ゆりやんレトリィバァに聞いた、ふたりの意外な接点とは

  • 写真:斎藤誠一
  • 編集&文:久保寺潤子
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2024年の12月から、海外進出を予定しているお笑い芸人のゆりやんレトリィバァ。細野とは歳もジャンルも異なる世界で活動しているが、大阪で行われたデビュー50周年記念展で、細野から直々にアンバサダーに指名された。なぜ自分が選ばれたのか? そう疑問に思いながら細野と関わる中で、ゆりやんは細野の世界を知ることとなる。

音楽の地平を切り拓いてきた細野晴臣は、2024年に活動55周年を迎えた。ミュージシャンやクリエイターとの共作、共演、プロデュースといったこれまでの細野晴臣のコラボレーションに着目。さらに細野自身の独占インタビュー、菅田将暉とのスペシャル対談も収録。本人、そして影響を与え合った人々によって紡がれる言葉から、音楽の巨人の足跡をたどり、常に時代を刺激するクリエイションの核心に迫ろう。

『細野晴臣と仲間たち』
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ゆりやんレトリィバァ●お笑いタレント 1990年、奈良県生まれ。お笑いタレント、女優、声優、ラッパーとして幅広く活躍。Netflixのドラマ『極悪女王』で演じた女子プロレスラー・ダンプ松本役の体当たりの演技が話題に。幼い頃からの夢だったアメリカ進出を目指し、目下準備中。

人生の断捨離をせず、細野さんのように好きなことに挑戦したい

ゆりやんが初めて細野と出会ったのは2017年、細野のライブで前座を務めた時のことだ。アカデミー賞受賞女優をネタにした彼女の芸に興味を持った細野が直々にオファーした。

「一生交わることのない存在でしたから、なぜ私が⁉って思っています。細野さんの音楽を聴きに来たお客さんの前で、スパッツのお腹からカツラ出しながらエ〜デルワ〜イス♪って歌って、がっつりネタやらせてもらいました」

大阪で行われたデビュー50周年記念展「細野観光1969 -2021」では、アンバサダーにも指名された。

「細野さんの私物を通じて歴史をたどるものでしたが、展示品の中には子どもの頃に描いた絵とか生徒手帳とかがめっちゃきれいに残ってて。細野さんは捨てられない性分なんだそうです。多くの人は古いものを捨てて整理して、また新しいものを買いますよね。でもそれを繰り返していくことで、だんだん考え方の幅を狭めているのかもしれないって思ったんです」

人生の断捨離をせずに世界を丸ごと面白がる細野に強く共感する。「私みたいな若手芸人にまで興味を持たれるアンテナの広さに尊敬します。お笑いって他人から突っ込まれることで『ああ、これってそういうボケやったんや』って気づくこともある。私のこと面白がってくださる細野さんこそが、ツッコミのお笑い芸人なのかも」

今回挙げた3曲は全くタイプの異なるものだ。

「無意識に聴いていたけど、気づいたらあれもこれも細野さんの曲やった。かっこいい曲、物悲しい曲、心に沁みる曲、いろんな感情を呼び覚ましてくれます」

「住所不定無職低収入」は言葉の面白さと物悲しさが魅力だそう。

「私の田舎はNYC(奈良吉野町)です。東京でシティガールになって便利な暮らしして、もう田舎には戻れない〜って思ってたけど、この曲を聴くと自分のオリジナルな部分を思い出してゆったりした気分を取り戻せるんですよ」

歳もジャンルも異なる世界で活動している細野に声をかけてもらうことで、自分の生き方の励みになっているという。

「細野さんは人生に関わったすべてのことを大切にしていて、世界を狭めずにいろんな表現をされている。私も一人の人間として、芸人としてイメージにとらわれず好きなことをやっていきたいので、細野さんのように断捨離せず生きていきたいですね」

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2021年、グランフロント大阪にて開催された細野晴臣デビュー50周年記念展「細野観光1969-2021」展にて。ゆりやんはオフィシャルアンバサダーを務めた。オープニングでは息の合ったトークで会場を大いに盛り上げたふたり。

 

 

Column:ゆりやんレトリィバァが選ぶ、細野晴臣の3song

「ライディーン」(収録:『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』)
小学校の掃除の時に流れていた曲で、いま聴いても給食の牛乳とほうきの匂い思い出す

「住所不定無職低収入」(収録:『HOSONO HOUSE』)
のらりくらりしていて語呂のいい歌詞ですが、なんか物悲しい。田舎にいた時の自分を思い出します

「フニクリ、フニクラ」(収録:『フィルハーモニー』)
フニックリフニックラ♪が永遠にループし、藤崎マーケットのトキさんのネタ、ガーリガリくん♪を彷彿とさせます

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