1.GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)
ロレアート クロノグラフ アイスブルー

ブランドを代表する人気コレクション「ロレアート」では初となるアイスブルーを採用。地に施した鋲型のクル・ド・パリ装飾、同心円で飾られた3カウンター、アワーマーカーの下に敷いたミニッツインデックス入りのフランジの全体を、メタリックでクールな淡青色で統一する。定評ある自社製クロノグラフ・ムーブメント「キャリバー GP03300」が搭載されているのも大きな魅力だ。
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2.PIAGET(ピアジェ)
ピアジェ ポロ クロノグラフ

ピアジェでの呼び名は単に「ブルー」であるものの、見る者に解釈を委ねる文字盤は、平行線を連ねた表面が入射光を複雑に跳ね返し、淡い青藤色とも群青色ともつかない絶妙のカラーで魅せる。シルバーカラーのツーレジスターとの対照も均衡が取れて美しく、クッション型の文字盤とラウンド型ケースを組み合わせた、独創的でアイコニックなシェイプ・イン・シェイプの構成が映える。
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3.NORQAIN(ノルケイン)
フリーダム 60 クロノ

3つのカウンターやアウターリングのダークブルーと絶妙なコントラストを見せる、サンレイ仕上げの淡青色ダイヤル。通り名は「スカイブルー」だが、光線によってアイスブルーやラグーンブルーの表情も見せる繊細なカラーに、アンスラサイトのブランドロゴが調和する。1960年代のヴィンテージデザインを基調にした「フリーダム」コレクションからの新作で、ピスタチオやピーチなどの色も展開する。
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近年、腕時計のスタンダードとして定着したひとつが、ブルーのダイヤルであることに異論はないだろう。しかし、ひと口にブルーといっても多種多様。色の濃淡や装飾の違いにより、文字盤の表情も大きく異なってくる。そしてここ数年で静かに流行しているのが、アイスブルーのダイヤルだ。淡いペールトーンが各ブランドの新作に採用される例が後を絶たないが、なかでもアイスブルーは男性でも女性でも着けやすいことから人気を博しているように映る。
アイスブルーに注目したのは、なにも腕時計が初めてではない。クルマの世界で言えば、MINIでは現在も人気色のひとつであり、ジャガー/デイムラーも歴代のXJモデルの選択肢に加えていた。エレキギターではフェンダーの名機「ストラトキャスター」のアイスブルー・メタリックが不動のロングセラーでもある。
腕時計に話を戻すと、ロレックスが「コスモグラフ デイトナ」などプラチナ製の最高級モデルにのみアイスブルー文字盤を採用することが有名で、特別な色として長年憧れの的とされてきた。この高貴なイメージに加え、アイスブルーのダイヤルはその名の通り、“クール”な印象を手元に与えてくれる。ステンレス・スチールの硬質感とも相性がよく、針やインデックスに白を効かせることでより研ぎ澄まされた雰囲気を醸成する。さらにクロノグラフと合わせれば、タフな力強さを内に秘めつつも、クールで都会的な洗練さも併せ持つ、新しい時代の男性像を演出できるはずだ。
並木浩一
1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。近著に『ロレックスが買えない。』。※この記事はPen 2025年5月号より再編集した記事です。