モンブランのミネルバから、京都のふたつの聖地へのオマージュを宿した新作時計が登場した。「ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド ジャパン リミテッドエディション14」は、日本限定わずか14本。細部には、気づく者だけに語りかけるように、スイスと日本の美意識が静かに息づいている。
ミネルバの系譜を継ぐ、端正な一本
1858年にスイス・ヴィルレで創業したミネルバは、精度と美しい仕上げで知られる老舗マニュファクチュール。そのミネルバから登場した新作は、一見すると1940〜50年代の黄金期を想起させる端正な3針時計だ。18Kホワイトゴールドケースにサーモンカラーのダイヤル、アラビア数字インデックス、ヴィンテージ調のドーム型サファイアクリスタル——ケース径39㎜の均整の取れたプロポーションが、古典的なエレガンスを静かに体現する。文字盤にはグレイン、サンレイ、アズラージュの3種のテクスチャーを重ね、光の角度によって繊細に表情を変えるのも魅力のひとつだ。
だが、この時計にはもう一つの顔がある。暗所でインデックスと針が、深いオレンジの光を静かに放つのだ。これは京都南部に位置し、1万基超の朱色の鳥居が連なる参道で知られる伏見稲荷大社へのオマージュ。商売繁盛を願い奉納されてきたあの色が、夜の文字盤にひっそりと息づき、繁栄への静かな祈りを象徴しているという。
時計を裏返すと、さらなる見どころが現れる。キャリバーMB M14.08のテンプ受けには、東寺の五重塔が精緻なレーザー彫刻で再現されている。796年に創建され、1994年にユネスコ世界遺産に登録された東寺は、日本を代表する木造建築のひとつ。その姿が、ムーブメントの中に静かに刻まれている。
幅広なテンプ受けはフリースプラングテンプと調整ネジ群に高い剛性をもたらし、精度向上と彫刻のためのスペースを両立。ムーブメントは約80時間のパワーリザーブを備え、コート・ド・ジュネーブ仕上げや手作業による面取りが、サファイアクリスタルのケースバック越しに控えめな輝きを放つ。
さらに、外からは見えない意匠も用意されている。ストラップの裏地に配されたのは、長寿と幸運を象徴する亀甲文様。気づくのは時計を外した瞬間のみ——身につける者だけが知る、控えめな贅沢だ。
そして「14」という数字にも意味がある。日本古来の美の比率である白銀比(1:1.414)に由来する「14」と、ムーブメントサイズの14リーニュが呼応する構成だ。異なる文化圏で育まれた美の法則が、この一本の時計の中で静かに重なり合う。その交点に、ミネルバはこのモデルを据えたのだ。
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