「世界はどのように立ち現れるか」——3人の現代作家の問いかけ

  • 文:Pen編集部
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会場奥に展示されている、森本啓太の作品。右奥の自動販売機も彼の作品だ。 ©POLA MUSEUM ANNEX

 

銀座1丁目のポーラ ミュージアム アネックスで、上田暁子、石塚元太良、森本啓太による3人展「Worlding − No Oars, No Shore,」が開催中だ(〜7月5日)。

3人の共通の出発点は、「世界はどのように立ち現れるのか」という問いだ。だが、そのアプローチはまったく異なる。

1990年大阪生まれの森本啓太は、16歳でカナダに渡り、バロック絵画や20世紀初頭のアメリカン・リアリズムを学んできた。帰国後は、東京を拠点に自動販売機や街灯に照らされた都市の夜を古典的技法で描き続けている。彼の手にかかると、見慣れているはずの風景が画面の中で静かに異質な存在感を帯びる。今年開業20周年を迎えた表参道ヒルズのメインビジュアルにも起用されており、街で目にした人も多いだろう。いま最も注目を集める若手アーティストのひとりだ。

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森本啓太の作品。どこにでもあるかのような日常風景が、森本の筆を通して新たな魅力を放つ。 

石塚元太良は、アラスカやパタゴニアの極地を長年旅し、氷河やゴールドラッシュ、パイプラインなど特定のモチーフを8✕10などの大判フィルムカメラで撮り続けてきた。近年は真夜中の氷河にLEDの人工光を照射するシリーズを展開。何万年もかけて形成された自然の塊と、人間が持ち込んだ瞬間の光一一相反するものが一枚の画面の中で緊張したまま共存する。印画紙を編み込み、立体に加工した作品では、写真という媒体の空間性そのものを問い直す。

_MG_0721.jpg石塚元太良の作品。右にあるのは写真の「彫刻」だ。 ©POLA MUSEUM ANNEX

上田暁子は、武蔵野美術大学卒業後、ブリュッセル王立芸術大学院で絵画と石版画を修めた。絵画を再現の手段とは捉えず、なにかが変質・変容していく過程やその瞬間を追い続けている。下絵を持たずに描き始め、ひと筆ごとが次の色とかたちを導く。作品の前に立つと、像が生まれかけては崩れ、既視感と未視感の間を漂うような感覚に陥る。 

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上田暁子の作品。イメージの層が幾重にも重ねられ、不思議な世界をつくりだしている。 ©POLA MUSEUM ANNEX

展覧会タイトルの「オールもなく、岸もない」という言葉が示すように、どこへ向かうともなく揺れる波のような感覚を楽しみたい。

『上田暁子 石塚元太良 森本啓太「Worlding − No Oars, No Shore,」』

開催期間:開催中〜7月5日(日)
開催場所:ポーラ ミュージアム アネックス
開場時間:11時〜19時  ※入場は18時30分まで
会期中無休
www.po-holdings.co.jp/m-annex