【BYDラッコ】子どもが立てる室内空間、中国メーカーが日本の軽を徹底研究した“機能主義デザイン”

  • 写真&文:小川フミオ
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写真:BYDオートジャパン

BYDが日本のために企画開発した「ラッコ」が、BYDオートジャパンの手で2026年7月に発売された。機能主義的デザインは、日本の軽自動車を徹底的に研究した結果という。 

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LEDを使った変形ヘッドランプで個性を演出。

ひとことで言うと、よくできたクルマだ。日本でいうとスーパーハイトワゴンというジャンルに入る。全高をあえて高くしてスペース効率を追求したデザインだ。走りも期待以上だった。

ここでは、まずラッコのパッケージという、自動車デザインの要(かなめ)に注目したい。

全高が1800mmある。当然、室内高も余裕があり、子どもなら立っていられる天井高だ。

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スライドドアは標準装備でトップモデルはつま先の動きで開閉が操作可能。

衝突安全性を確保する目的もあり、BYDはラッコのために「X(エックス)パック」なる一体型パワーユニットを開発。

駆動用バッテリー、電子制御ユニット、DC/OBC統合ユニット、高電圧配電ユニット、バッテリーコントローラー、暖房用のPTCヒーターと冷房用のエアコンコンプレッサー制御ユニット、車両コントロールユニットを統合したものだ。 

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BYD独自の「ブレードバッテリー」に「X PACK」パワートレインの組合せ。(写真:BYDオートジャパン)

コンパクトという利点もあるXパックによりスペース効率は向上。最大で320kmの巡航距離を持つバッテリーを床下に積んでいるにもかかわらず、子どもなら立っていられる天井高が実現している。

天井高を高くしたのと同時に、後席シートのアレンジにも凝った構造を採用。左右独立式で、前後スライドする上、折りたたみ機能として「チップアップ」と「ダイブダウン」も備えている。

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後席シートはスライド可能な上、座面と背もたれが別べつにフォルディングできる。

後席へのアクセスはスライドドア(トップグレードでは足先の動きで電動開閉式)。衝突安全性は? と確認すると、基準に則り、衝撃吸収と変形防止のための部材を適所に使ってるとのこと。

販売されるのは「200」「300Plus」それに快適装備が豊富な「300Premium」。 

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奥が「200」で手前が「300Premium」で外観上のちがいはほとんどない。

200と300では駆動用バッテリーの容量に差があり、結果、一充電あたり走行距離は200が210km、300が320kmとされる。

最高出力は、いずれのモデルも同等で規制値の47kW、最大トルクは160Nm。

300Premiumは、期待以上にパワーがある。アクセルペダルを軽く踏んだだけで、ぐいぐいと加速する。

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ごく低速域から太いトルクが出るモーターの特性を活かしての加速を発揮する一方、走りはスムーズ。

私がドライブしたクルマは、やや足まわりがふわふわっとしていて、ステアリングホイールも軽め。ちょっと切り込んだときの車体の反応はすこし速すぎるように感じられた。

ちょっとふわついた乗り心地は、速度が上がっていくと落ち着いていく。ドライブモードで「スポーツ」を選択すると、ステアリングホイールの操舵力も重めになって、より落ち着く。

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シフターはダッシュボードから生えたスティックタイプでドライブモード選択もダッシュボードの物理的コントローラーで行う。

高速道路は経験していないけれど、一般道では室内の遮音性も高く、快適に乗っていられる。

前席は左右がぴったりくっついたようなベンチタイプで、ウインドシールドの角度は立ちぎみなので、空間的な余裕を感じる。 

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後席の機能は高くフォルディングすると荷物の積載量はたっぷり。(写真:BYDオートジャパン)

前後スライド機能を持った後席シートを後ろに下げると、ヒザの前にキャリーオンを置けるぐらいのスペースが生まれる。

一方、荷室にものを入れるために後席シートをめいっぱい前に出した場合、それでもレッグルームには余裕がある。よいパッケージングだ。 

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後席をフルフラット化すると室内で横になれそう。

いまの日本には、日産「サクラ」やホンダ「N-ONE e:」をはじめ、クロスオーバータイプの三菱「eKクロスEV」など、軽自動車規格の車体を持つEVが存在する。

そこにあってラッコはもっとも背が高く、上記のとおりシートアレンジや豊富なモノ入れで、既存車種との棲み分けができる潜在だ。

軽自動車のデザインは、世界の自動車業界でもたいへんユニークとされているのは、みなさんもご存知のとおり。

規格が定められていて、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、内燃機関のばあい排気量は660cc未満。その中で、スポーツカーからワゴンやトラックまで車種展開は幅広い。

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リアビューにはLEDランプがそなわるのも上質感をかもしだしている。

海外では、ステランティスグループの、シトロエン、フィアット、オペルと、3ブランドで売られる2人乗りEVも存在する。 

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フィアットのBEV「トポリーノ」はコンパクトさがセリングポイントでラッコとはコンセプトがことなる。(写真:Stellantis)

全長2.4m、全幅1.39mのステランティスのEVは、通勤や通学の足としてクルマが絶対に必要な購買層むけのものであり、実際、ミラノやパリで1人で乗っているケースをよく見る。

それに対してラッコはフル4シーター。家族でキャンプにも行ける。ステランティスのEVに比べると、乗用車にうんと近い。

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外部給電機能もそなえる。(写真:BYDオートジャパン)

将来的にはトレッド(左右の車輪間の幅)を拡大するとかして、欧州などの市場を狙うつもりは? という私の質問に対して、ラッコの開発者は可能性を否定しなかった。

そこも興味深い点だ。

BYD Racco 300

全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm
ホイールベース:2520mm
車重:1230kg
荷室容量:280リッター
パワートレイン:バッテリー駆動 前輪駆動
バッテリー容量:35.84kWh
最高出力:47kW
最大トルク:160Nm
乗車定員:4名
一充電走行距離:320km(WLTC)
価格:¥2,398,000
www.byd.com/jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。