「世界で最も美しいバイク」とも称されるMVアグスタとは? アグスタ伯爵が生んだイタリアの名門が日本再上陸

  • 文:小川フミオ
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写真:MV Agusta Motor SpA

もっともカッコいいモーターサイクルはなにか。そう尋ねたら、「MVアグスタ!」と答える人も少なからずいそう。イタリアはロンバルディア州バレーゼで、アグスタ伯爵によって興されたメーカーだ。

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創業の地を社名に入れたMeccanica Verghera Agusta略してMVアグスタ。(写真:筆者)

この人は1960年代、マセラティ兄弟から、彼らがマセラティを去った後に設立した(いまや伝説の)スポーツカーブランド「OSCA」を買収したことでも知られている。

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ドメニコ・アグスタが買収したO.S.C.A.はマセラティの3兄弟が設立したメーカーで、写真の「MT4」は1948年に登場して60年代までレースで活躍した。(写真:Newspress)

最新ニュースは、日本での正規代理店が決まったこと。ここ数年、親ブランドであるKTMが業績不振で、MVアグスタはオーナー企業が変わるなど、日本でも影響が出ていた。

MVアグスタは、アート好きにも知られていて、2023年12月の「アートバーゼル・マイアミビーチ」には、NY在住のアーティスト、ダニエル・アーシャムとのコラボを発表。

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「Super Veloce Arsham」はSuper Veloceをベースにアーティストが創りあげたものでアート作品としてごく少数つくられた。(写真:MV Agusta Motor SpA)

「スーパーヴェローチェ・アーシャム」と名付けられ、エンジンとタイヤとフェアリングのウインドスクリーンとブレーキディスクいがい、ほぼすべてのパーツがホワイト、というものだ。

フィクションとしての考古学、を口にするアーシャムは、工業製品が浸食を受けて朽ちていく、あるいは廃墟から掘り出されたような作品を手掛けている。

「機能的なモーターサイクルが、クリスタルイロージョンによって、ムービングスカルプチャーになる」 

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フェアリングなどにアーシャムによるクリスタルイロージョン加工がほどこされている。(写真:MV Agusta Motor SpA)

アーシャムは、白いポケモンのフィギュアが崩れはじめ、クリスタルでつくった内部が見え隠れする作品を手がけたこともある。6台限定のMVアグスタ・スーパーヴェローチェも、それを思わせる。

アートは別としても、MVアグスタの製品は、まさに機能美の極致。カラーリングも伝統的に上手で、二輪のコレクターを大いに魅了している。 

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いまもコレクターのあいだで人気の高い「750S(スポーツ)」は1970年から75年にかけて製造された。(写真:Newspress)

そもそも、MVアグスタの創業者、アグスタ伯爵は、1920年代から航空機を生産していたが、1945年に息子のドメニコ・アグスタがモーターサイクル事業に乗り出した。

四輪のエンツォ・フェラーリと比較されることもあるように、スポーツマインデッドな企業家で、50年代から70年代は、数多くのレースで優勝を重ね名声を確立。

もうひとつ、MVアグスタが人気を集めたのは、一般に販売されたマシンも、ほとんどレーシングマシンだったこと。いまでも、MVアグスタは公道で走れないマシンを手掛けている。 

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「850SS Monza」(1974年)は高性能4気筒エンジンと前後ディスクブレーキのレーサーで、現在のデザインにもインスピレーションを与えている。(写真:Newspress)

アグスタ伯爵が逝去してからは、経営が思わしくなくなり、一時期、MVアグスタはモーターサイクルから手を引いていた。

その後新しいオーナーを得て、画期的な設計のマシンを送り出したのが1999年。私もよく覚えている「F4」なるマシンだ。

2000年代の親会社はオーストリアのピエラ・モビリティだったが、MVアグスタは2025年1月に、ルクセンブルクに本拠を置くアート・オブ・モビリティ社に買収された。

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いまのMV Agustaは「Dragster RR SCS America」のように高性能ネイキッドバイクも多く手がけて人気が高い。(写真:MV Agusta Motor SpA) 

それまで、MVアグスタの親ブランドは、KTMだったが、そのとき両者の関係は清算され、現在、MVアグスタ・モトールSpAとして、高性能なマシンを送り出している。

今回、株式会社コシダテック(直接の担当は子会社のオートグローバルコシダ)が、26年4月1日から、日本での代理店になった。

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最初のシリーズが2001年に登場していらい数多くのバリエーションで看板車種ともなっているのがブルターレ(写真は「Brutale 800 Nero Carbonio)。(写真:MV Agusta Motor SpA)

「我われとしては、そこで、過去の経緯であったり、イタリアの本社とのやりとりであったり、(検討した結果)これはビジネスになるだろうし、MVアグスタというブランドに魅力もありで正規インポーターとしてスタートすることになりました」

8月に高輪ゲートウェイで開かれた記者発表会の席上で、コシダテック欧州営業部長の高原成昭氏は語った。 

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記者発表会で左から、高原成明(コシダテック欧州営業部長)、マクシミリアン・コール(MV Agusta Motorアジア・中東地域統括責任者)、外山和也(オートグローバルコシダ代表取締役社長)の各氏。(写真:コシダテック)

これまでのKTMジャパンから販売を引き継いだコシダテック。本格的なビジネス展開は27年に、MVアグスタの27年モデルが登場してからという。

販売するモデルや価格は、いまは明らかにされていない。たのしみに待とう。 

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コシダテック本社に飾られている「Super Veloce 98」は創業者へのトリビュートとして300台のみ生産のマシン。(写真:コシダテック)

MVアグスタ
www.mvagusta.com/jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。