【Penが選んだ、今月の音楽】
ザ・ローリング・ストーンズ 『フォーリン・タングス』
り、ブルースやR&Bに根ざしたワイルドなサウンドと不良っぽいイメージでロックの代名詞的な存在であり続ける。アートワークも印象的な『フォーリン・タングス』は25枚目のスタジオ作。
8年ぶりのスタジオ・アルバムとして話題を集めた前作『ハックニー・ダイアモンズ』から3年、“ロックの絶対王者”ザ・ローリング・ストーンズがさらにパワーアップして帰ってきた。
前作と同じくアンドリュー・ワットのプロデュースの下、ロンドン西部のメトロポリス・スタジオに1カ月こもって録音した10曲とそれ以前に録音していた4曲から成る新作『フォーリン・タングス』は前作を軽く凌駕する傑作だ。ストーンズらしさ満載の曲の魅力もさることながら、長らくツアーをともにするダリル・ジョーンズ&スティーヴ・ジョーダンのリズム隊が下支えする、ソリッドで音圧高めのサウンドメイキングにまず胸が躍る。
加えて、キース・リチャーズとロン・ウッドの荒ぶるギターが素晴らしい。アルバム冒頭、ブルースへの愛情ほとばしる「ラフ・アンド・ツイステッド」のブギ・ギターのリフだけでストーンズ・ファンなら狂喜乱舞すること間違いない。黄金時代のビート感やグルーヴが蘇る「イン・ザ・スターズ」の2曲目でストーンズ・ワールドは既に全開。その後もミック・ジャガーが衰え知らずのファルセットを決めるミディアムR&Bやカントリー・バラード、ディスコ・ロック、パンク・ロックが続き、哀愁漂うキースのボーカル曲、エイミー・ワインハウスやチャック・ベリーの出色カバーまで充実の14曲が楽しめる。
チャーリー・ワッツによる生前最後期の録音曲が収められているのもファン感涙だろう。前作に引き続いてベースで参加したポール・マッカートニーやスティーヴ・ウィンウッド、ザ・キュアーのロバート・スミスほか、豪華ゲスト陣も要所で各自の個性を持ち寄り、単なる栄光の焼き直しではないこの傑作の誕生にひと役買っている。平均年齢81歳。それでもなお成長を志し、実現させた若く気高い意志に脱帽だ。
ザ・ローリング・ストーンズ『フォーリン・タングス』ユニバーサル ミュージック UICY-16494 ¥3,300