【新型パジェロ】“SUVだらけの時代”にどう個性を出した? あえて本格クロカンを貫く三菱の答え

  • 文:小川フミオ
  • 写真:三菱自動車
Share:
大胆な造型のライトと横桟を強調したグリルが印象的だ。

三菱自動車が新型「パジェロ」を2026年9月2日に”世界初披露”した。「これからの三菱自動車ブランドを象徴する新世代のフラッグシップモデル」とうたうクロスカントリー型SUVだ。

new_pajero_wp03.jpg
AYC(アクティブヨーコントロール)、滑りやすい路面で駆動力を最適に配分して安定性を高めるASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)、それにABSを統合制御。

「初代モデルから一貫して培ってきた、悪路走破性・信頼性、快適性と扱いやすさを両立させるという商品思想を継承・進化させた」とする、第5世代の新型パジェロ。

ただし、というか、しっかり新しい。一目見て印象に残るのは、かつてのモデルとはまったくイメージが異なるフロントマスクのデザインだ。

T型がふたつ組み合わされているというべきか、はたまたH型というべきか。LEDによるシグネチャーランプが目をひく。 

Kishiura_President_COO_03.jpg
発表会場における三菱自動車の岸浦恵介社長とともに。

「日本の剣道に通じる内面の強さを表現しています」とはプレスリリース内の文言。スロットを使うデザインは、まさにいまのトレンドだ。

このフロントグリルは、日本のものづくりの精巧さを表現する横桟タイプと、無駄のない機能美や高強度をイメージさせるハニカムタイプの2タイプが設定されている。

20260902_1_2.jpg
フロントマスクと同様のデザインテーマが与えられたリアコンビネーションランプが個性を演出。

ボディに目を移すと、初代パジェロのロールバーから着想を得たCピラーを採用したとされ、さらにリアには、歴代モデルの背面タイヤを想起させるヘキサゴンデザインモチーフが使われている。

とはいえ、張り出した前後フェンダーなど、デザイナーが言うところの“面質(面の張りで質感を表現)”にこだわったボディデザインは、従来のパジェロとまったく異なる。

しっかりと“いまっぽさ”がデザインされている。

「歴代パジェロのサイドビューは水平基調で厚みがあり、オールラウンド4WDとしての力強さが表現されています。新型パジェロは継承しながら進化を加えることで、ひと目で新しさを感じていただけるプロポーションになりました」

資料では、デザイン本部の吉峰典彦プログラムデザインダイレクターによる、デザインの背景説明が紹介されている。

20260902_1_5.jpg
インストルメントパネルやドアトリムには日本の伝統工芸「木目込み」 に着想を得た 縫製技法を施したソフトマテリアル を採用。

インテリアに目を移すと、やはり“初代モデルから受け継ぐデザイン”が強調されている。

具体的には、水平基調のインストルメントパネルがそれにあたる。ただし、14.3インチのモノリスディスプレイを2枚採用するなど、デジタルテクノロジーを活かした空間である。

パジェロを象徴するものとして、3連メーターを最新の技術を使ったマルチメーターとして再現。

高度計、方位計、温度計に加え、車体の前後左右の傾き、AYC制御量などで、走行状況をわかりやすく表示する、としている。

20260902_1_4.jpg
パジェロの伝統ともいえる3連メーターのモチーフを採用しているが、表示機能はさらに増えている。

ユニークなのは、ラダーフレームという本格的なシャシーを持つクロカン型4WDでありながら、新型パジェロは、三菱のラインナップにおける旗艦モデルとして、上質感が追求されている点だ。

インストルメントパネルやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」 に着想を得たとされる縫製技法を施した ソフトマテリアルを採用。

「インテリアもデザイナーのこだわりを形にするために、設計や生産部門とさまざまな工法を検討しました。そして職人の技を注ぎ込み、量産車では難しい手の込んだデザインを具現化することができました」

そう述べるのは、三菱自動車プロジェクト推進室の杉本貴明チーフビークルエンジニアだ。

20260902_1_6 (1).jpeg
3列シートを用意すると同時に車内の静粛性にはおおきく気をつかったそう。

マーケティングの視点から見たとき、新型パジェロの注目点は、SUVが氾濫する市場において、本格的な性能を前面に打ち出して個性を強調しているところだろう。

上記のとおり、トヨタ「ランドクルーザー70」やスズキ「ジムニー」シリーズと同様、本格的なクロカン4WDの必須条件ともいえるラダーフレームを採用。 

20260902_1_7.jpg
シャシーの強度が高いラダーフレームを採用することで、オフロードの走破性が高いクロカン型SUVという独自の商品性が追求されている。

駆動系は、やはり本格的な仕様だ。4WDモードと後輪駆動モードが設定されているうえに、一般道向けハイギアードの4HLc、またはオフロード用ローギアードの4LLcが選択できる。

悪路走破性については、最低地上高は230mm。アプローチアングルは30.4度、ランプブレークオーバーアングルは22.6度、デパーチャーアングルは25.8度だ。 

new_pajero_exterior02.jpg
ヘッドランプの意匠をはじめ遠目からでも個性が際立つデザイン。

昨今は、ランドローバーの初代ディフェンダー(当初は単にランドローバーと呼ばれた)をチューニングするのがトレンドだったり、機能主義的デザインが再評価されている。

パジェロも、第1世代や第2世代のデザインを極力活かしたモデルになっても面白かったろう。ただし衝突安全性などクリアするべきハードルも多く、いろいろな面で進化する必要があったのも事実だ。

メタルトップ-82.jpeg
1982年登場の初代パジェロ(メタルトップ)。

2030年代に向けた中長期ビジョンでは、尖った商品・ブランドの強化により、お客様満足と企業価値の向上をテーマに掲げていくそうだ。その第1弾が今回のパジェロ。

そのさきは、(ボディサイズやパワートレインがことなっていたパジェロミニやパジェロイオのように?)パジェロのシリーズ化を企画中としている。 

P23 ZR 3ドア.jpg
1998年に登場した初代「パジェロイオ」は小ぶりな車体に1.8リッターエンジン搭載だが、4WDシステムなどパジェロの特徴をしっかりそなえていた。
EXCEEDフロントスタイル.jpg
「パジェロミニ」は1994年に軽自動車規格の車体で登場し、企画が奏功し好調なセールスを記録。

2026年10月1日に予約注文の受付を開始し、2026年10月29日に正式発表、日本発売は2026年12月17日が予定されている。

new_pajero_driving_on_paved_roads01.jpg
2026年度は生産拠点のタイを皮切りに日本、豪州、そして次年度以降はアセアン、中南米、中東など世界約100カ国で展開の計画という。

三菱 パジェロ

全長×全幅×全高:4920×1925×1910mm
ホイールベース:2870mm
2359cc 4気筒ディーゼル パートタイム4輪駆動
最高出力:150kW
最大トルク:480Nm
変速機:8段オートマチック
乗車定員:7名
価格:未定
www.mitsubishi-motors.co.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。