【新型C3エアクロス】この乗り心地、さすがシトロエン! 7人乗りになった個性派SUVの実力

  • 写真&文:小川フミオ
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仏シトロエンのSUV「C3エアクロスハイブリッド」が、2026年7月に日本発売された。特長は、燃費にすぐれたマイルドハイブリッドエンジンと、7人乗りのパッケージだ。 

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前モデルよりホイールベースを65mm延長し、7人乗り/3列シートレイアウトを実現。

「1919年の創業以来、独創的な発想で自動車の常識を塗り替えてきました」と、メーカー自身がホームページでうたう。

シトロエンの車両は(特に90年代までは)ほかと違うという点が特徴で、ジャーナリズムの世界ではイディオシンクラティック(独善的)という形容詞が往々にして使われた。

シトロエンの独自性は、デザインとサスペンションシステムに端的に表れていた。 

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マセラティのV6を搭載した美しい大型クーペ「SM」はいまでもクラシックカー愛好家のあいだで人気が高い。(写真:Citroen)

「トラクシオンアバン」(1934年)、「2CV」(48年)、「DS」(55年)、「メアリ」(68年)、「GS」(70年)、「SM」(70年)、「CX」(75年)、「BX」(82年)など、印象に残るモデルを挙げていくと枚挙にいとまがない。 

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合成樹脂製の車体を2CVのシャシーに載せた「メアリ」はサビに強いと、南仏などではいわゆるビーチカーとしても人気を博した。(写真:Citroen)

上に挙げた中で、2CVとメアリ以外のモデルに共通するのは、ハイドロニューマチック(仏語だとイドロプヌーマティク)と呼ばれたサスペンションシステムだ。

イドロ(液体)とプヌ(気体)という単語通り、油圧と窒素ガスを、通常のスプリングとダンパーの代わりに使うという、たいへんユニークな技術だった。

最後のほうは電子制御技術と組み合わされて、室内から調整でき、車体のロール制御まで可能になった。当時はやっていたアクティブサスペンションに通じるコンセプトだ。 

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ハイドロニューマチックサスペンション搭載の最後の大型シトロエンセダン「C6」(2005ー12年)。(写真:Citroen)

私の記憶では、車体のロールというある種の“信号”がなくなると、クルマの限界性能がつかみづらくなり、コーナリングではより注意を払わなくてはいけなくなった。なので、手放しで“すごかった”とは言いにくい技術である。

一方で、大きなうねりの道路を走るときは車体の上下動がうまく抑制され、特に高速道路などでは空飛ぶじゅうたんを想像させる乗り心地が魅力的だった。

ひとつ、ハイドロニューマチックサスペンションが不得意としたのが、道路の継ぎ目のような細い(高周波の)起伏を越えるときのショックの吸収だった。 

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プログレッシブ・ハイドローリック・クッションとアドバンストコンフォートシートで快適な乗り心地を追求。

これを見事に克服したのが昨今のモデルだ。今回の「C3エアクロスハイブリッド」も、どんな高級車も負けないような快適な乗り心地を提供してくれる。

デザインの面でもC3エアクロスハイブリッドは個性的だ。同じプラットフォームを使うプジョー車もそうだが、あえて好き嫌いがわかれるようなデザイン(特にフロントマスク)を採用している。 

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リアビューミラーに映っても個性的なヘッドランプのデザインで視認性が高そう。

C3エアクロスハイブリッドを正面から眺めると、複雑な形状のヘッドランプまわりと、エッジを多用したバンパー、その下のエアダムの形状が、一般的な審美眼とは相容れないと感じられる。

少なくとも通常の美はない。これまでシトロエンに、たとえば、アルファロメオやジャガーに通じるような美があったかというと、ほとんど思いつかない。

DSやCXを美しいという人もいるけれど、発表当初は、見た人はびっくりしたらしい。時間とともに慣れたのだ。

C3エアクロスハイブリッドのばあい、審美性で売ろうというクルマではないのはたしかだ。

「じゃあ、なにで?」というと、先述の通り、ひとつはすばらしい乗り心地。もうひとつは、広くて居心地のよい室内空間によるパッケージだ。

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「C-Zen Lounge(シーゼン・ラウンジ)」デザインコンセプトを採用したというインテリアは広々感が強い。

ていねいに造型され、素材感もいいし、遊び心もあるインテリアは、日本車ではなかなかお目にかかれないデザイン性の高さがたいへんよい。 

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2列めシートはややクッションが硬めだがスペースは余裕があり快適に乗っていられる(座面も跳ね上げ式で大きな積載物に対応)。

シートは座り心地がいい上、表皮のデザイン性が高い。C3エアクロスハイブリッドは、3列シートの7人乗りなので、いざというときの使い勝手もよさそうだ。 

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今回のモデルの眼目のひとつが2名乗車できる3列目シートで個別に折り畳むことも可能。

さらに魅力はもうひとつある。走りのよさだ。パワートレインは、1.2リッターガソリンエンジンをベースにしたマイルドハイブリッド。電気モーターがギアボックスに組み込んであり、発進や加速時にトルクを積み増す。

1.2リッターではパワー不足なのでは、と不安をもつひともいるだろうが、ところが乗れば、いい方向に裏切られる。発進時はモーターを使い、そのあとエンジンが始動するシステムは、実にスムーズな加速性を味わわせてくれるのだ。 

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ヘッドランプと同じデザインテーマを与えられたリアコンビネーションランプと、あえて古典的なモチーフを再度使用した卵形のシトロエンエンブレムが目をひく。

グレードは装備によってふたつ設定されている。価格は、「C3 AIRCROSS PLUS HYBRID」が399万9000円、「C3 AIRCROSS MAX HYBRID」が435万円。

これまで日本市場には、同じディメンションの車体をもつ「C3エアクロスSUV」が展開されていた。こちらのパワープラントは、1.2リッターガソリン(ノンハイブリッド)と、1.5リッターディーゼルだ。

今回の「C3エアクロスハイブリッド」の商品力は、ガソリンの16.7kmを軽く上回り、ディーゼルの21.3kmに迫る燃費と、7人乗りのパッケージにある(C3エアクロスSUVは2列シートのみ)。

このような比較をすると、エクステリアデザインもにわかに説得力を増してくる。内側からのデザイン、という言葉があるように、数かずのすぐれた機能を表現したものとして、けだしグッドデザインといえるかもしれない。 

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本国ではこんなかんじの画像で居心地のよさをアピールしている。(写真:Citroen)

シトロエン C3 ハイブリッド

全長×全幅×全高:4410×1790×1460mm
ホイールベース:2670mm
車重:1390kg
1199cc 3気筒ガソリン+マイルドハイブリッド 前輪駆動
最高出力:100kW+モーター16kW
最大トルク:230Nm+モーター51Nm
変速機:6段デュアルクラッチ
乗車定員:7名
燃費:19.6km@l(WLTC)
価格:598(687)万円
www.citroen.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。