これフェラーリ初のEV、4ドア5人乗り&最高出力772kWの「ルーチェ」が日本で実車公開

  • 文:小川フミオ
  • 写真:フェラーリ・ジャパン
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東京・六本木でお披露目されたルーチェ。写真:筆者

フェラーリが「ルーチェ」の実車を日本で公開。772kWのハイパワー4ドアEVであり、大胆なスタイルで話題のモデルだ。

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バッテリーモジュールの85%は前後アクスル間のフロアに統合されていて、残りの 15%はリヤシートの下。

実車は細部まで凝りに凝ったデザインで、55万ユーロという価格だけに、クオリティ感もハンパない。

舞台は、2026年9月26日から10月4日にかけて東京で開催された「フェラーリ・フェスティバル東京」。あいにくというか、実車を見られたのは一部の幸運な人たち。

ここでは、実車を見られなかったひとのために、フェラーリの重役へのインタビューを交えて、ルーチェの概要をあらためて伝えたい。 

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ウインドスクリーンはボンネットへとなめらかにつながり、流れは浮遊感のあるフロントウイングの下まで続く。

 「私たちは、現在そして未来のフェラーリファンのために、他に類を見ないドライビングエモーションと卓越したパフォーマンス、走る歓び、そして快適性を兼ね備えた車を創り上げました」

上記はルーチェ発表時にフェラーリが用意したプレスリリース内の文言。

フェラーリ初のBEV(バッテリー駆動EV)であり、5座の4ドアであり、凝った全輪駆動システムを備えたルーチェは「当社が新たに取得した60件以上の特許の結晶」とうたわれている。

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フェラーリのジョン・エルカン会長(左から2人め)はLoveFrom,のジョニー・アイブ氏(右から2人め)とマーク・ニュースン氏(右)と以前から親交を持っていたという。

内外のデザインは、先刻ご承知のひとも多いだろう「ラブフロム」によるもの。アップルを辞したあと、ジョニー・アイブが、2019年に設立したデザインファームだ。

自動車を専門とするデザインファームでないラブフロム。起用の理由として「独自性を強調するために、あえて従来とは異なる方法でデザインに取り組むという決断」がやはりプレスリリースに記されている。

「ラブフロムに依頼したのは、我々もEVがラインナップに欲しかったから、という単純な理由ではないです」 

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グローバルヘッド・オブ・プロダクトマーケティングのエマヌエレ・カランド氏が六本木でルーチェの解説を行ってくれた。

六本木で会った、グローバルヘッド・オブ・プロダクトマーケティングの肩書を持つエマヌエレ・カランド氏は言う。

「彼らは期待に応えてくれました。フェラーリの歴史をくまなく調べ、私たちが言いたいことを真剣に理解してくれ、一緒にデザインに取り組んでくれました」 

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LoveFrom, の面目躍如たるクルマとしてはユニークなデザインがインテリアに採用されている。

よくあるデザイン決定のプロセスとは、デザイン部がいくつものデザイン案を用意して、そこから経営陣が「これ」とモデルを選ぶというものだが、ルーチェは当初から経営陣を巻き込んでデザインが煮詰められていったようだ。

「むしろデザイン部とは別に進めました。まったく新しいクルマが欲しかったので」とカランド氏。

言うまでもなく、ルーチェの見どころは、見た目だけでない。外観上の設計の特徴は、ボディが大きくいって2つのパートで構成されている点だ。

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インナーボディにかぶせられたようなデザインの車体は空力を緻密に制御する形状。

これがデザイン上、最重要ポイント。一見シンプルなボディだが、じつは高性能車であるための深い意味がある、というのだ。

カランド氏の表現を借りると、2つとは「ブラックパート」と「シェル」。ブラックパートはインナーボディで、それはバッテリーセルを含めたシャシーと、乗員が乗るキャビン。

アルミニウムのセルはボディ。たとえていうなら、服のように、ブラックパートに被せられるイメージだ。

服と表現したが、実際の機能性は高く、空気を採り入れたり、効率的に排出したり、高速走行やカーブを曲がるときに車体を安定させる空気の流れをつくり、また後部からきれいに剥離するためにデザインされている。 

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フロントも空力的な形状をもつ。写真:筆者

実車に接すると、滑らかなボディの表面処理は実は微妙なカーブによる面構成を持っているのがわかる。フロントマスクも同様だ。単ににつるっとしたフラッシュサーフェスでなく、複雑な造型だ。

インテリアは、ラブフロムでアイブのパートナーを務めるマーク・ニュースンらしい、というか、彼がこれまで手掛けてきた「アイクポッド」や「レサンス・タイプ3」といった腕時計を想起させる。

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アップル時代のアイブとニューソンが得意としてきた円のモチーフを統合したようなデザインがダッシュボード各所に採用されている。

ダッシュボード中央のスクリーンにはグラブハンドルがついていて、ボールジョイントを使って乗員は好きな角度にモニターを固定できる。 

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センターモニターはグラブハンドルの操作によって好きな角度で固定することができるのもユニークなデザイン。

クオリティ感はかなり高い。しっとりした手触りと、操作類の感触のよさ。そして視覚的な新しさ。全体的には、それでいて、フェラーリらしからぬポップさが印象的だ。

一方で、性能的には「電気モーターならではの走りをフルに体験してもらえる」クルマだとカランド氏は胸を張る。

各車輪に1基ずつ計4基の電気モーターを搭載し、最高出力は1050cv(772kW)、静止から時速100kmまでの加速は2.5秒、最高速度は時速310km、そして、満充電時の航続距離は530kmに達する。 

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乗降性の高い観音開きのドアが採用されていて、後席は2人のおとなが乗るのに十分なスペースがある。

4輪すべてを使って駆動力を制御して速いコーナリング速度などを実現するトルクベクタリング機能や、車体のロールを制御するアクティブサスペンションも搭載し、「他の電気自動車とは一線を画すハンドリングとパフォーマンスを実現」とされる。

「私たちはまっく新しいフェラーリをつくりたかったのです。12気筒搭載モデルもフェラーリだし、ルーチェもまたフェラーリです。Different Ferrari For Different Momentという私たちの製品開発ポリシーにしたがって、幅広い選択肢をもうけることが目的でした」とカランド氏。

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六本木を訪れたビーニャCEOは、フェラーリの特徴は多様性にある、と述べた。

同じ発表会のタイミングで、フェラーリ本社のベネデット・ビーニャCEOは下記のように述べた。

「私たちは将来の世代に対しての責任をつねに感じています。ルーチェはその証明ともいえるモデルです」

フェラーリ ルーチェ

全長×全幅×全高:5026×1999×1544mm
ホイールベース:2961mm
車重:2260kg
パワートレイン:電気モーター(4モーター)全輪駆動
バッテリー容量:122kWh
最高出力:772kW
最大トルク:990Nm(モーター計測値)
乗車定員:5名
航続距離:530km(WLTP)
0-100km/h加速:2.5秒
最高速度:310km/h
価格:約550,000ユーロ
www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-luce

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。